コーヒーの香りとこだわりの植物に囲まれた、居心地のよい住まいに流れる時間は特別なもの。クリエイターたちのセンスあふれる空間をのぞいてみよう。
コーヒーは、家族をつなぐ寛ぎの装置
長年にわたりビームスグループの中核を担い、ファッション、音楽、アートなどの刺激的なカルチャーに関わってきた土井地博さん。この春には新会社の代表となり、より世界に向けた発信を意識していくという。そんな活動の一環として、3年半ほど前から力を入れているのが、自身がナビゲーターを務めるFMラジオ番組だ。
「4月にリニューアルしましたが、幅広いジャンルの表現者にお話をうかがうスタイルは同じ。過去のオンエアはポッドキャストなどにアーカイブされ、アーティスト名で検索もできる。耳からの情報に新しい価値が出てきました」
海外出張も多く、多忙な毎日を送る土井地さんは、自他ともに認めるコーヒー好き。ヒースセラミックのマグカップやポートランドのスタンプタウンコーヒーで購入したミル、ケメックスのドリッパーなどがキッチンに並び、窓越しに見える植栽とあいまって、心地よいアメリカ西海岸の薫りが漂う。
「コーヒーは時間と時間をつなぐグラデーションに最適。気持ちのスイッチを入れる装置ですね。それに、妻とカウンターで向き合って話したり、家族間の対話の場を生むきっかけにもなります。うちは妻と中学生の双子の娘がいて女子3人なので、甘いものがあることも多い。そうなると、自然とコーヒーになりますよね(笑)」
愛用のマグカップを手に、四季折々の庭を眺めてひと息。よく手入れされたグリーンは、川崎市にある人気の植物園「ソルソファーム」に相談して揃えたという。
「冬場に寂しくならないよう、常緑と四季の植物をバランスよく置いています。近所に植物を育てている家も多く、借景させてもらうことも。生活の中に緑があふれ、互いに楽しめるのがいい。LDKは両面にバルコニーを設け、カーテンを付けていないのですが、窓から差し込む日の移り変わりや風の流れ、そういう変化に気づくようになりました。そこに音楽やコーヒーを加えて、静と動の時間を楽しみたいですね」
※この記事はPen 2021年7月号「コーヒーとグリーン、ときどきポッドキャスト」特集より再編集した記事です。