堀込泰行さんの定番は、エルヴィス・コステロをはじめとする自分の好きな、パブ・ロックのアーティストたちが着ていたような、ちょっといなたいジャケットスタイル。さらっと羽織ってきた、気軽な雰囲気だ。
「普段から自分がつくる音楽に合う格好をしたいと思っています。ただ、いろいろなタイプの曲をやっているミュージシャンの僕にとって、どんな装いがニュートラルかを考えていて。そんな時に出合いました」
キレイめというのではなく、いまっぽい感じでもない。好みであるトラッドの匂いがしながら、こなれた感じに着崩せる服。堀込さんは、自分と自分が紡ぐ音と服のバランスを考えた時に、ワークジャケットがしっくりきた。そこから目に留まったものを買い集めてみようと思ったという。行きつけがあるわけではなく、道すがらのぞいたお店に気に入ったものがあれば、試着して買う。それはまるでレコードとの出合いのようで、偶然も楽しむ。
「音楽のスタンダードは単に古いものではなく、流行のふるいに掛けられても残る名曲。幼少期から、流行の曲より惹かれたのは『名盤100』に収録されるような楽曲。自分の音楽も多くの人と一緒に時代を超えられたら」
気張らず軽やかに、そっと人に寄り添う。ワークジャケットはまさに、堀込さんのスタンスを表している。
雑誌『Pen』が手がけるオリジナルドラマ「光石研の東京古着日和」。気になるシーズン2の行方はどうなるの!?
俳優・光石 研がセレクター! 2021年上半期に本当に買ってよかったモノ6選【東京古着日和ポッドキャスト】
※Pen2020年9/15号「あたらしい定番と、自分のための定番」特集よりPen編集部が再編集した記事です。