10代で古着を買い始め、ファッションにハマった岡山天音さん。際限なく買い物しないよう、あえて自分に“黒しか着ない”ルールを課しているという。そんな彼は黒いアイテムの中でも、19歳の頃にひと目惚れで手に入れた古着のスーベニアジャケットをずっと着続けている。
「ベロアの落ち着いた生地やユルさを感じる刺繍、愛嬌のある総柄の裏地など、すべてのディテールにグッときました。成人式の二次会でも着て、翌日気づいたら右袖がボロボロに。しばらく穴が空いたまま着ていました」
岡山さんは新しいものを次々と取り入れるより、ひとつのものを突き詰めて愛用。時間をかけて生まれる変化を好む。このジャケットも長く着るために信頼する地元のショップで右袖をリペア。直したことで、より愛着が湧いたと笑顔で語る。
「昔から、日常の中で負う傷や失敗、コンプレックスも、自分の一部として誇りにしたいという意識があるんです。そうした自分の軸を改めて気づかせてくれた服を、これからも大切に着たい」
岡山さんにとって相棒のような存在になったジャケット。その日の服装に迷った時は、まずこの一着を羽織って鏡の前に立つという。時間を重ねることで、お互いの魅力を引き立て合っていく。
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※Pen2020年9/15号「あたらしい定番と、自分のための定番」特集よりPen編集部が再編集した記事です。