【着る/知る】Vol.111  ビルケンシュトック×ジル サンダー+に、コラボの理想形を見た

  • 構成・文:高橋一史
  • 写真:青木和也
Share:

0705_Pen_001.jpg

ダブルストラップのアリゾナをアレンジしたモデル。ジル サンダーらしい中間色の革で統一されたミニマルな佇まいが秀逸。外側に広がるアウトソールのコバが、コラボコレクションの特徴的なディテールだ。¥59,400(税込)/ビルケンシュトック×ジル サンダー+(ビルケンシュトック・ジャパン カスタマーサービス TEL:0476-50-2626)

コンフォートサンダルのビルケンシュトックと、ファッションブランドのジル サンダーとがついにタッグを組んだ。まさにビルケンシュトック、まさにジル サンダーといえる、両者の優れた特性が一体化したサンダルに仕上がっている。Pen Onlineのファッション連載「着る/知る」は、全4型のうちリボン結びのウィメンズモデルを除く3型を撮影。ウェブメディアとしては日本最速公開となる公式な詳細情報をここにお届けしよう。

ジル サンダーには明確なスタイルがある。ドイツ人女性デザイナーのジル・サンダーが同国で立ち上げたパーソナルなブランドで、フランスやイタリアの老舗ビッグメゾンとは出自が異なる。きらびやかな社交界の対極に位置するかのごとく、ストイックで哲学的な美意識。その美学は2018年春夏コレクションからブランドを統括するルーシー&ルーク・メイヤー夫妻にも受け継がれた。夫妻はモダンなアプローチで、ジル サンダーに旬の輝きを与えた。さらに自然界からの着想や日本的な“わびさび”の精神も加え、唯一無二のモードへと変身させている。

関連記事

---fadeinPager---


このたびのフットウエアのコラボレーションからは、夫妻のうち男性デザイナーのルーク・メイヤーのセンスを強く感じずにはいられない。彼は自身のメンズブランドであるOAMCも手がけており、そこでも数シーズンに渡り今回のサンダルと共通するコバを広げたシューズを展開しているからだ。ジル サンダーのメンズシューズにも同様のディテールが見られ、トレンドのゆったりとした服装と実に相性がいい。

さらに、とくに黒モデルで印象が際立つのが、裁断した一枚革のエッジで断面の茶色を覗かせるテクニック。絵画における輪郭線のごとく、サンダルの造形が美しく浮かび上がった。3型のベースになったのは、ビルケンシュトック定番のアリゾナ、ミラノ、ベルリン。革はジル サンダー流の高品位なもので、ストラップが長く変更され、ボリュームソールとのバランスが整えられた。

コラボレーションにあたり夫妻は、「私たちは物心がついた頃からずっとビルケンシュトックを履いています。履き心地がよいだけでなく、気持ちが安らぐのです。カナダの荒野でキャンプをしたときや、スイスアルプスの山小屋の暖炉の側でくつろいでいた時など、日常を離れた場所でも履いていました。ビルケンシュトックとのコラボレーションに踏み切る決め手となったのは、同ブランドの品質と実直な姿勢です」と語っている。アウトソールはゴム製で、フットベッドを含めたソール全体は固めだが足を踏み出せばちゃんと曲がる。歩くための機能性にも配慮されていることに、夫妻のビルケンシュトックへの愛情が感じられるのだ。

0705_Pen_002.jpg

ベースの型はアンクルストラップがついたミラノ。黒と茶のバイカラー配色がコンテンポラリーなムードを生んでいる。履き続けて足に馴染んだ頃に、手放せない味わいが出ることが期待できるクラフト的なサンダルだ。¥66,000(税込)/ビルケンシュトック×ジル サンダー+(ビルケンシュトック・ジャパン カスタマーサービス TEL:0476-50-2626)

0705_Pen_003.jpg

ベルリンをベースにしたモデル。スエード革が使われ、コラボレートコレクションのなかで最も風合いがソフトな一足だ。履いた瞬間から足に馴染ませたいならば、購入の筆頭候補になる一足である。¥63,800(税込)/ビルケンシュトック×ジル サンダー+(ビルケンシュトック・ジャパン カスタマーサービス TEL:0476-50-2626)

サイズ展開はメンズで39〜43、レディスで35〜39のユニセックスタイプ。日本での販売先は8月4日(水)より、伊勢丹新宿店で開催されるポップアップショップ、ジル サンダーブティック(一部店舗除く)、jilsander.com1774.comにて。通常品と比べれば相応に割高だが、ドイツ生まれの一流ブランド同士のタッグに特別感を抱く人は手に入れる意義のある魅惑のコレクションだ。

ビルケンシュトック・ジャパン

www.birkenstock.com/jp/1774/

ジル サンダー
www.jilsander.com

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。