【Penが選んだ、今月の読むべき1冊】
チェコで生まれ、10代半ばで日本文化に目覚めた著者の鮮烈なデビュー作。本書の主人公ヤナは、14歳で村上春樹の小説『アフターダーク』を読み日本文学に惹かれ、プラハの大学では日本文学を専攻。周囲には、アニメやゲームに詳しい日本フリークが大勢いたが、彼女は昭和初期に早逝した作家、川下清丸を研究する。一方、ヤナの分裂した魂は、かつて滞在した渋谷の街をさまよっていた。日に日に東京の文化を吸収する魂は、青山の老人ホームに行き着く。時空を超えた文化の交流の描写が圧巻だ。