印度カリー子です。
今年の3月に東京大学大学院を卒業し、ようやく自由の身になり、正真正銘スパイスやカレー漬けの毎日を送っています。
もとはといえば、5年半前。大学1年生の冬に姉と同居するきっかけで、姉が大好きな「インドカレー」をつくってみようと思い、本を開いたところから私のインドカレーライフが始まりました。
当初は香りが強いものが得意でなく、スパイスはあまり好きではありませんでした。ところが、ひとつ一つの香りは強いのに、それらを少しずつ調合すると豊潤なカレーの香りに変化する、そのギャップ萌えのような香りの変化に魅了されました。難しいと思っていたスパイスカレーの ①簡単さ ②安価さ ③アレンジ性 に驚かされ、どんどんハマっていきます。
当時の私はサークルにも所属せず、夢も希望もなく、ただただ勉強をして大学と自宅を行き来する毎日だったわけですが、突然あまりに魅力的なカレーに出合い、すっかり恋に落ちたように、スパイスやカレーを知りたいという欲に埋め尽くされます。そして知れば知るほど、しだいにもっとみなに広めたいと思うようになり、“おうちスパイスカレー”を普及すべく活動を開始しました。
「印度カリー子」は、「インドカレーが大好きな女の子」であることが一瞬でわかる名前であり、レシピを書いていく上で一度聞いたら忘れないようにと考え、付けました。印度カリー子として、毎日カレーをつくってSNSやブログに上げていくにつれ、少しずつ仲間も増えていきました。1年も続けていると仕事として執筆依頼などが舞い込むようになり、気付いたら雑誌に出たり、ラジオやテレビからも声がかかったり、いまではこれが活動の中心のひとつになっています。
大学院に通っていた時は週5〜7日の通学と仕事を両立させなければいけなかったため、仕事は電車の中や早朝、土日の起きている限りの時間に。大学院でもスパイスの研究をしていていました。
学校も仕事も好きなことしかやっていないはずなのに、歩いているだけで涙が止まらなくなるくらいまで追い込まれたこともありましたが、いまでは大学がなくなったおかげでかなり自由に創造的な活動をできている気がします。
現在、初心者のためのスパイス専門店「印度カリー子のスパイスショップ」を運営しています。ショップは4年目になり通販だけではなく、東急ハンズや蔦屋書店など全国各地のお店に置いていただけるようになりました。私の毎日はここの運営、週に3〜4日はテレビ・ラジオ・雑誌などの撮影、週に2〜3日はレシピ本や新商品のレシピ開発をこなして生活しています。
休日は、仕事ではなく、純粋につくりたい料理をつくって過ごしています。早朝から夜中まで足がパンパンになって立てなくなるまでつくり続けます(笑)。インドカレーやスパイス料理の他、お菓子や中東料理なども。いろんなレシピ本を読んでどんどんつくり、自分の中においしい知識として蓄積されていく瞬間ほど満たされるものはないと思っています。
結局はそれがレシピ開発や新商品開発などの源泉になっているので、趣味の先に仕事があるということも、ありがたいことです。
私は、人生のすべてをスパイスとカレーに懸けていると言っても過言ではないと思います。これから、そのスパイス漬けの人間から見える世界を綴っていくつもりです。