毎回、テーマに合わせて酒のプロが選りすぐりの3本を紹介するこの連載。初回は、ちょっといいことがあった時に開けたい、お手頃価格の日本産スパークリングワインを取り上げる。この2、3年に新発売になった3本だ。
1.フレッシュで爽快、豊かな果実味が身上の亜硫酸無添加
まずは「ファンピーロゼ泡」。私がこのワインに出合ったのは日比谷のビストロ「バーマン」。薄く濁っているのに果実味がクリア、それでいて味わいが豊かで驚いた。その果実味を酸が支えており、後味はきりっと切れる。スペアリブのローストともいけた。造り手の掛川史人さんが名付けたという、ファン(楽しい)とハッピー(幸せ)の造語のファンピーという名前も、ラベルデザインもポップだ。
2.個性的な魅力あふれる、 深紅色のスパークリング
「Oasis」は、日本でも急に増えたスパークリングの赤。このタイプは渋みを持ち合わせ、複雑な味わいが楽しめるものが多く、最近、私も家で飲む機会が増えている。この赤は、ブラッククイーンという品種特有の豊かな酸がアクセントになったカシス風味が魅力的。Oasisは、コスパ抜群で人気の「ミュゼドゥヴァン」シリーズのスパークリング版。ロゼスパークリングも今年初リリースされた。
3.北の大地を思わせる、香り豊かな飲みごたえがいい
キャメルファームワイナリーは、スパークリングが激増中の北海道のワイナリーで2017年に醸造所を開設。世界的に有名な醸造家、リカルド・コタレッラと連携して次々と新製品を送り出し、私も注目している。「レガミ」は6つの品種のワインをブレンドして味わいのベースを決めたという。ほのかに甘さがあるが、4品種がピノ・ノワールなどの黒ブドウであるためか、複雑な味わいで存在感も飲みごたえも十分だ。
●今月の選酒人:鹿取みゆき
日本の食とワインの造りの現場の取材を続ける。最近は日本ワイン産業の支援のため日本ワインブドウ栽培協会を各地の造り手とともに設立。Pen Onlineでも連載をもつ。『ワインの香り』(虹有社、共著)などワイン関連の著書多数。