フランシス・フォード・コッポラが監督した不朽の名作『ゴッドファーザー』3部作。古き良き時代の粋なマフィアたちが愛用し、血生臭い世界を芸術的な絵画のごとくクラシカルに彩る“大人の名品”の数々を紹介したい。
シリーズ第1作『ゴッドファーザー』の冒頭を飾るコルレオーネ家の盛大な結婚式で、名優マーロン・ブランドが演じるファミリーのドン、ヴィトー・コルレオーネはタキシードスタイルを披露。シングルブレストのディナージャケットの中にはクラシックなベスト。シャツはスティップブザム(イカ胸)タイプで、襟はウィングカラー。上着のラペルに付いた真っ赤な花飾り「ブートニエール」がアクセントになっている。控えめにして華がある、まさに暗黒街の権力者を象徴するような堂々とした着こなしだ。
【続きはこちらから】
ファミリーのドン、ヴィトーの長男ソニー(ジェームズ・カーン)はいかにもシチリアの男風で、女癖が悪くて短気だが家族想い。妹コニーに暴力をふるった夫カルロを懲らしめるシーンでソニーが履いていたのが、2色の素材が組み合わされたオックスフォード靴だ。白×黒のコンビタイプでストレートチップのデザインだが、これは同じカラーリングでもウイングチップタイプ。ソニーのゆったりとしたグレンチェックのスーツと絶妙にマッチしている。
【続きはこちらから】
シリーズ第2作『ゴッドファーザー PARTⅡ』は前作の後日談と前日談が交互に進行し、名優ロバート・デ・ニーロが演じる青年時代のヴィトーが登場。彼がニューヨークのリトル・イタリーで働いている時に着ていたのが、クラシックなバンドカラーシャツだ。14世紀にフランスのノルマンディーの貴族によって考案されたという説もあり、第1作でヴィトーの三男マイケルがシチリア島へ逃亡した後に同じようなシャツを着ている。
【続きはこちらから】
『ゴッドファーザー PARTⅡ』の現代パートの主役を務めるのは、父ヴィトーからドンの座を受け継いだ三男マイケル(アル・パチーノ)。そんな貫禄満点な弟とは正反対に気弱な性格の次男フレド(ジョン・カザール)は、決して人前に出るようなタイプではないが、パーティでは大柄のチェックを使ったお洒落なタキシードジャケットを着用。チェックジャケットは1950年代に流行したファッションで、作品の舞台となった年代とも見事に合致したものだ。
【続きはこちらから】
『ゴッドファーザー』3部作の主人公の一人であるマイケルは、シリーズを通してさまざまなテーラードスタイルを披露。第1作の序盤では大卒らしいアイビースタイルで、ファミリーに参加した後はダークな色合いのスーツが中心。第2作ではシルクシャンタンなどの素材を使って柔らかに仕立てたスーツで登場。そして最終章『ゴッドファーザー PARTⅢ』では打って変わって、同作の時代設定にあたる1970年代後半から80年代にかけて世界的に流行した、色合いも仕立てもイタリア的なソフトスーツを着用している。
【続きはこちらから】
『ゴッドファーザー PARTⅢ』をよく見ると、登場人物のほとんどの男性がペイズリー柄のネクタイを着用。黒っぽいスーツにエンジ色をベースにしたペイズリーのネクタイを締めているマイケルを筆頭に、その後継候補ヴィンセント(アンディ・ガルシア)、さらにファミリーの弁護士、マイケルと対立するファミリーのボスやボディガードまでもみんなペイズリータイだ。1970年代から80年代にかけてのイタリアンファッションはペイズリーが象徴的なモチーフで、それを忠実に再現したと思われる。
【続きはこちらから】