昨今の情勢を反映してか、新しいスタイルのサウナに注目が集まっている。アートとコラボ、おひとりさま専用、銭湯併設など、方向性はさまざま。今回は、デザインと心地よさ、アクセスのよさを基準に5施設をセレクトした。
1. チームラボ & TikTok, チームラボリコネクト:アートとサウナ
最新アートとの融合で、「ととのう」の先を体感する
チームラボが目指したのは、「サウナでととのうこと」のさらに先にある体験だ。
「サウナエリア」は、期間限定のアートの展示の一部とは思えないほど充実している。中温多湿から高温ドライまでの設定に加え、アロマが異なる7種のサウナ室を用意し、初心者から愛好家までに対応する。
サウナの後に向かうのが「冷水エリア」。冷水シャワーを浴びながら、舞い飛ぶ群蝶に触れ真円の中を進むうち、しだいにクールダウンしていく。
そして、たどり着くのが「アート浴エリア」だ。光の結晶や質量を無視し空中を浮遊する球体、空間全体を埋め尽くすように咲き散っていく花々など3つのアート作品を、まさに全身で浴びるように体感できる。
温冷交代浴と、超自然現象的アートとの一体化で来場者は心地よくととのい、再び世界と時間へとつながる。ここで体験するアートへの深い没入感は、いましか味わえない特別な体験だ。
チームラボ & TikTok, チームラボリコネクト:アートとサウナ
東京都港区六本木5-10-25
営業時間:10時〜23時(最終入館21時30分)
定休日:不定休
料金:一般¥4,800(月〜金)¥5,800(土、日、祝、特定日)
※~2021年8月31日、女性限定のレディースデイも設定
https://reconnect.teamlab.art/jp
※営業日時・内容などが変更となる場合があります。事前の確認をお薦めします。
2. KAMAKURA HOTEL
緑茶でロウリュする、香り高き貸し切り空間
2020年秋、JR鎌倉駅近くに開業した全16室の小さなホテル「KAMAKURA HOTEL」。ここがサウナーに注目されている。
充実したサウナ設備に加え、宿泊者だけが利用できる貸し切りのサウナがあることがその理由。完全貸し切り(90分、要別途料金)のため、誰はばかることなく、サウナを堪能できる。
このホテルのサウナがユニークなのは、ロウリュに水で はなく緑茶を使用するところ。サウナ室全体に爽やかな茶の香りを含んだ熱波が広がり、身体を包み込む。同様にサウナ入浴中の飲み物にも緑茶とほうじ茶のホットとアイスが用意されるので、サウナ後の外気浴は開放感あるベランダのベンチでゆったりと寛ぎながら、この香り豊かな日本のお茶で身体を潤したい。
注意したいのがホテルでサウナを利用できるのは1日10組ということ。実際に宿泊する人の6~7割がサウナ目的なので、確実にサウナを利用するには宿泊と同時の予約がお薦めだ。
KAMAKURA HOTEL
神奈川県鎌倉市御成町12-27
TEL:0467-55-5380
料金:¥2,000(90分)~ ※宿泊者限定、貸し切り制、宿泊料金は1泊1室¥23,000~https://kamakurahotel.jp
※営業日時・内容などが変更となる場合があります。事前の確認をお薦めします。
3. SOLO SAUNA tune
おひとりさま専用空間で、ストレスフリーな極上体験
東京で本格フィンランド式サウナは珍しくなくなった。 だが、完全個室でひとりからサウナが利用できるとなれば、コロナ禍においては最高だ。
ひとり用の個室とはいえ、サウナ室は余裕の空間。全長2mのベンチで横になることもできるため、通常の施設以上にリラックスできると好評だ。室内温度は70〜85℃とやや低めだが、白樺のアロマ水によるロウリュも可能。好みの湿度に調整できるのがうれしい。
クールダウンはシャワーで。チラー(冷却器)で15℃前後に設定された冷水を、400mm口径のオーバーヘッドシャワーで頭から浴びる爽快さはこの上ない。休憩スペースにはエアコンとサーキュレーターが備えられ、好みの風量で涼むことが可能。しかも、自分のスマホに入っている好みの音楽をスピーカーから流すこともできる。密を避けて思う存分楽しめるソロサウナ。いまの時代だから生まれた、新たなカタチだ。
SOLO SAUNA tune
東京都新宿区天神町23-1
営業時間:8時50分~23時10分(月~金)、9時~23時10分(土、日、祝)
定休日:不定休
料金: 一般¥3,800(60分)~
www.solosauna-tune.com
※営業日時・内容などが変更となる場合があります。事前の確認をお薦めします。
4. 黄金湯
パワフルなサウナが、銭湯の楽しみを広げる
約90年の歴史をもつ錦糸町の銭湯が、クラウドファンディングにより約660万円を調達してリニューアル。併設するサウナもパワフルに生まれ変わった。
壁面に麦ばく飯はん石せきを張り巡らせた男性用サウナ内の温度は約100℃と高温。しかも、15分ごとに行われる自動のロウリュと麦飯石の遠赤外線効果とにより、短時間で身体の芯まで温まる。
注目したいのが、15℃に設定された水風呂。90㎝の水深があり、どっぷりと冷水に頭まで浸かりクールダウンできる。
空が吹き抜ける外気浴スペースも開放感があって快適。爽快な風が抜け、心地よいサウナトランス状態に浸れる。
ととのった後に楽しみたいのが「黄金湯ビール」。DJブースも備えたカウンター(旧番台)で供される、この湯オリジナルのクラフトビールだ。
サウナに風呂、そしてクラフトビール。休みの日には昼から訪れたくなる、なんとも魅力的な銭湯である。
黄金湯
東京都墨田区太平4丁目14-6 金澤マンション1F
TEL:03-3622-5009
営業時間:10時~24時30分(日~金)、15時~24時30分(土)
定休日:第2・第4月曜
料金:一般¥470(90分)
※サウナは別料金 : 男性¥500、女性¥300(月~金)、男性¥550、女性¥350(土、日、祝) https://koganeyu.com
※営業日時・内容などが変更となる場合があります。事前の確認をお薦めします。
5. サウナ&ホテル かるまる
3セットでは足りない、サウナ・アミューズメント
4種類のサウナと4種類の水風呂、飲食施設とリラクゼーションスペース、さらに宿泊施設も擁するサウナ・アミューズメントが、「かるまる」だ。
注目は、日本古来の「蒸サウナ」。滋賀県伊吹山に生えている9~10種類の薬草を煮立てて蒸気を充満させた樽に入り、成分を身体に纏わせる、珍しいサウナだ。一方、薪が燃える香りや爆ぜる音に癒やされる「薪サウナ」の中にいると、原始の感覚が呼び起こされる気分になる。
4種の水風呂にも趣向が凝らされている。10℃以下という低温かつ竜巻のように強い水流が自慢の「サンダートルネード」は、まさに雷に打たれたような衝撃を感じる。また、フィンランド語で「凍結した湖に開けた穴(アヴァント)」を名にもつ「アクリルアヴァント」は、透明の円筒浴槽で、氷の穴にすっぽり浸かった感覚が楽しい。
3セット程度では味わい尽くせない豊富なバリエーション。通って攻略したい施設だ。
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サウナ&ホテル かるまる
東京都豊島区池袋2-7-7 6F
TEL:03-3986-3726
営業時間:11時30分~翌朝9時(浴場利用時間)
※薪サウナは19時~25時(月~金)、13時~深夜1時(土、日、祝)
定休日:無休
料金:一般¥1,480~(60分、月~木)¥1,960~(60分、金、祝前日)¥2,460~(60分、土、日、祝)※レディスデイあり、宿泊は別料金
https://karumaru.jp/ikebukuro
※営業日時・内容などが変更となる場合があります。事前の確認をお薦めします。
※この記事はPen 2021年7月号「コーヒーとグリーン、ときどきポッドキャスト」特集より再編集した記事です。