真正面から見ればオーソドックスな丸形ダイヤルだが、サイドビューが革新的なオーデマ ピゲの「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」に、クロノグラフの新作が追加された。特徴的な八角形のミドルケースにブラックセラミックを採用。ベゼル、ラグ、ケースバックは18Kホワイトゴールド、または18Kピンクゴールドの2タイプがあり、多層構造のケースがさらに強調されるだけでなく、異なった素材の質感が醸し出す絶妙なハーモニーを楽しめる。
「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」は、およそ四半世紀ぶりとなる新コレクションとして2019年に発表。独特の名称が浸透していくのと並行するように、たちまち人気モデルとなった。ごく簡単に説明すれば、CODEとは伝統と革新の調和を意味する4つの頭文字であり、11.59は新しい日まであと1分という高揚感と期待が込められている。中空のラグやダブルカーブのサファイアクリスタル風防など最先端の技術力を駆使する一方で、腕時計の基本的な文法も踏襲。この名称を裏切ることなく、新時代のセンスとテクノロジーをクラシックと融合した秀逸な仕上がりになっている。
中でもケース構造の特殊性を象徴するのが八角形のミドルケースであり、2020年にはホワイトゴールドのフレームがピンクゴールドを上下から挟み込んだバイカラーモデルを追加。今回の新作ではブラックセラミックを組み合わせることで、立体感をさらに強調するスタイルとなった。セラミックは表面硬度が高く、耐傷性に優れているため、一般的にはベゼルなど外部と頻繁に接触するパーツに使用されてきた素材であり、こうした使い方は珍しい。とはいっても、原料の酸化ジルコニウムを特殊な方法で強化。高硬度で焼結したセラミックを高精度のダイヤモンドツールで加工後に、最終的に熟練職人が手作業で磨き上げるという綿密な工程を経ている。
ケースバックから動きが見られるクロノグラフのムーブメントも、最新の「キャリバー4401」を搭載。ベースムーブメントにクロノ機構を加えるモジュール型ではなく、同社の自社開発としては初となる一体型。コラムホイール式の垂直クラッチなので、軽快にクロノグラフを「スタート/ストップ」ができ、針がブレる怖れもない。計測途中でも瞬時にリスタートできるフライバック機構を備えている他、同社特許のゼロリセットメカニズムですべての針がピタリと帰零する。パワーリザーブも約70時間(約3日間)なので実用性も高い。
この新作の魅力は、やはり腕に着けた時の精緻で立体的な横顔だ。サンドイッチにされたブラックセラミックの艶が印象的なコントラストというだけでなく、ポリッシュとヘアラインを巧みに組み合わせた仕上がりの妙味を堪能できる。洗練された個性的な造形美がさらにグレードアップしたと表現しても過言ではないはずだ。
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