メガネメーカーのアイヴァンは2017年3月にアイヴァン 7285、同年12月にアイヴォル、そして21年3月19日(金)に社名と同名ブランドであるアイヴァンの各旗艦店を次々に誕生させた。この3店はすべて、東京・南青山の骨董通り沿いにある。骨董品店が多いことから名付けられたこの通りは、いまやメガネ店のメッカだ。「モスコット トウキョウ」「ディータ 青山本店」「フォーナインズ青山店」「オプティカルテーラー クレイドル青山店」らのブランド&セレクトショップが軒を連ね、今回新しく「アイヴァン 東京ギャラリー」が加わりさらにパワーアップした。
アイヴァンのファンなら、待望の路面店をすぐにでも訪れたい気分だろう。ここではそんな店の様子をいち早くお伝えしよう。まずはブランドのおさらいから。アイヴァンは日本で1972年にスタートし、ヴィンテージメガネからインスパイアされたファッション性の高いデザインと、福井県鯖江市と密接に関わる品質の高さで人気を博したメーカー&ブランドだ。その後ブランドは一時期休止するが、メガネづくりを続けていた同メーカーが18年に当時のブランド名を復活させたのが新生アイヴァンだ。
この復活に先行してデビューしたアイヴァン 7285は、シーズン毎に自由にデザインするブランド。続くアイヴォルはスポーツシーンに対応するサングラスがメインアイテムだ。一方でアイヴァンは、過去のアーカイブを参照したベーシックで幅広いラインアップを特徴とする。とはいえ単なる復刻版ではなく、現代の技術でしかつくれない最先端のモダンなプロダクトになっている。
アイヴァンを掛けると、軽い掛け心地に驚かされる。その理由のひとつは、すべてのモデルで金属フレームにチタンが使われていること。同じチタンでもフロントやテンプルなど部位により素材を使い分け、しなやかで耳に優しい極細フレームも技術開発されている。透明に移り変わる美しいグラデーションのセルフレームとメタルフレームを組ませ、そのメタルにクラシカルな彫金を施すなど、一本の中に多様な表情とコントラストが見られるのも特徴だ。ビジネスマンが掛けやすいシンプルなメガネでも、細部には繊細な意匠が息づいている。
そのコレクションを揃えたアイヴァン 東京ギャラリーも、平凡にはほど遠いこだわりの店構えだ。 “うなぎの寝床” な細長い店内の左側は、エントランスから検眼室の奥までガラスのショーケースが続く。ギャラリーの名の通り、狭い廊下を歩きながらケースの中を眺める新鮮な体験ができる。内装のイメージソースは町工場で、天井はアーチ状の木の板で覆われ、什器は使い込んで味の出る銅板や真鍮のメタルがアクセント。和風な佇まいが、昔ながらの骨董通りの空気によく馴染む。
この通りは路地裏も含め、「ジェイエムウエストン青山店」「トリッカーズ青山店」「パラブーツ青山店」「バーウィック 南青山店」「ラコタハウス 青山店」(オールデン)といったトラッドシューズの一大拠点でもある。男性好みのメガネとシューズが充実するこのエリアを、休日にでもじっくりと散策してはいかがだろうか。