ジャンルを超えて生み出される「ニッポンの美酒」が、日本各地で次々と生まれている。各界で活躍する著名人に、ジャパンメイドのお酒のなかから、家呑みを楽しくする愛飲の1本を教えてもらった。
故郷の料理が恋しくなる、上品でフルーティな麗しい大吟醸。
趣味の立ち飲み屋めぐりでは「お店のお薦めをいただきます。それが新しい出合いになるじゃないですか!」と笑うのは、モデルの高田秋さんだ。
過去2回、人気バラエティ番組の「朝までハシゴの旅」に出演し、大いに日本酒愛を語った。「出演後は仕事が倍増と、テレビの影響力を再認識しました(笑)。でも、お酒や競馬などの趣味が仕事につながるなんて、有り難いですね」
いまでは利き酒師の資格をもつほどの日本酒好きだが、この酒と出合うまでは「正直いって、日本酒特有の味と香りが苦手でした」と振り返る。「初めて飲んだ時、上品でフルーティな味わいに、日本酒ってこんなにおいしいし、麗しい味なんだと、驚きました。それからいろんな日本酒を試すようになり、いつしか大好きに。WEB番組を通して、利き酒師の資格を取るまでになりました」
桐箱入りの高級な銘柄だけに、大切な人たちへのプレゼントとしても購入するとか。「でも、あげた友達からは『もったいなくて飲めない!』という、複雑な反応もあります」と、苦笑する。
最後に吉翔に合わせたい料理はと聞くと、北海道っ子らしいメニューが矢継ぎ早に挙げられた。「トウモロコシの天ぷらとボイルしたアスパラ、それにイカソーメン! あぁ、北海道が恋しい!!」
●千歳鶴 大吟醸「吉翔」
日本清酒株式会社【北海道】
最高級、兵庫県産の山田錦を精米歩合40%まで磨き醸すことで、果実のような華やかな香りと爽やかな余韻を実現。720ml ¥6,600(税込)/千歳鶴通販店TEL:011-221-7106
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幻の銘酒とのコラボが縁で、日本酒の奥深さに夢中になりました。
中田英寿さん主催の食事会で十四代のつくり手、髙木さんと出会ったJUJUさん。「私、お酒は大好きなのに、日本酒とはいい出合いがなかった。十四代を飲んでからそのおいしさと奥深さにハマりました」。これが縁で、2年前にコラボレーションしたのが純米大吟醸「寿十四代」。コンサートに来た観客のみが会場で購入できる幻の一品となった。「日本酒はどんな食事とも相性がいいですね。和食はもちろん、トロフィエ(ショートパスタ)のゴルゴンゾーラソースといった料理にも合うのは発見でした」
フルーティな大吟醸ブームの火つけ役、十四代は、ますます新たなファンを魅了している。
●十四代 中取り 大吟醸
高木酒造 【山形県】
天才杜氏、高木顕統さんが手がける十四代。伝統の製法と最新の技術により日本酒の新しい魅力を発信。720ml ¥5,500(税込)/高木酒造TEL:0237-57-2131
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ロックやソーダ割り、スイーツとも好相性のフレッシュな味わい。
酒のエキスパート、友田晶子さんのお薦めは、意外やコンビニで買えるワンコインのお酒だ。「“SAKE女の会”が官能テストしましたが、結果は某人気大吟醸と遜色ない結果でした」
その秘密は、熱処理していない生酒ならではのフレッシュな味わい。しかも、常温で約8カ月の長期保存を実現しているのだという。
「お手軽な価格でいて保存も簡単。飲み方も、ロックだったりソーダ割りだったり自由でいい。夏は冷たさもおいしさのひとつです!」
さらに、スイーツとの組み合わせも提案する。「たとえばアップルパイ。完熟リンゴの香りする大吟醸香との相乗効果が楽しい」
●生の贅沢 純米大吟醸生酒
日本盛 【兵庫県】
吟醸香を高生産する新酵母により、リンゴのような爽やかな香りを実現。少量飲みきりサイズのプレミアム酒。300ml ¥498(税込)/日本盛 TEL:0798-32-2590
亡き親友が引き合わせ冷酒で飲む大吟醸生酒、その衝撃的な旨さ。
「冷酒ならではの、クールでスッキリした口当たりで飲みやすいけれど、しっかりとした飲みごたえもある。その旨さに驚いたよね!」そう興奮気味に語るユカイさんだが、その出合いの背景には、ちょっと切ない物語がある。
「小学校の頃からの親友が亡くなり、お母様から『息子のギターをもらってほしい』と連絡がありました。受け取りに伺った時、『冷やして飲むとおいしいから』といただいた酒です」
それまで「日本酒は冷(常温)」で「久保田は万寿」だったが、冷酒で飲む「翠寿」の「衝撃的な旨さ」に脱帽。以降、その出合いもありユカイさんの「特別な日の酒」となっている。
●久保田 翠寿
朝日酒造 【新潟県】
加熱処理せず低音貯蔵により、清々しく華やかな香り、軽やかで上品な味わいを表現。4~9月の限定出荷。720ml ¥3,091(税込)/朝日酒造 TEL:0258-41-3777
大いに化けるにごり酒。温めてもよし、“どぶハイ”も最高!
「生酛のどぶは、老舗にして理解ある蔵元に恵まれたことでその才能が開花した杜氏、加藤克則さんがつくり出した、画期的な銘酒」と、語るのは漫画家の尾瀬あきらさん。日本酒づくりの難しさと素晴らしさを描いた名作『夏子の酒』の作者だ。どこが画期的なのかというと「熱めの燗がいちばん旨いが、一転、炭酸で割って氷を浮かべれば、実に涼し気な生酛のコクとキレが味わえる“どぶろくハイボール”に変貌する。夏はビール代わりにグイッといける。最高だ!」
しかも「生酛はどんな料理にも合う懐の深い酒。好きな料理との相性を試してみては」という。この夏の楽しみが、ひとつ増えた。
●睡龍 生酛のどぶ
久保本家酒造 【奈良県】
もろみが十分に熟成させ目の粗いふるいで濾した、にごり酒の醍醐味を感じつつも上品な味わいが特徴。720ml ¥1,750(税込)/久保本家酒造 TEL:0745-83-0036
この記事は、2020年 Pen 7/1号「ニッポンの美酒。」特集よりPen編集部が再編集した記事です。