70年代の人種観をあぶり出す、米作家マラマッド長編初邦訳『テナント』。

  • 文:今泉愛子
Share:

『テナント』バーナード・マラマッド 著 青山 南 訳 みすず書房 ¥3,080(税込)

【Penが選んだ、今月の読むべき1冊】

アメリカの作家バーナード・マラマッドが、1971年に発表した長編小説の初邦訳。ニューヨークのアパートで小説を書き続けるユダヤ人作家のハリーは、ある日、無人のはずの建物でタイプライターをカチカチと打つ音がすることに気付く。音の主は、同じく作家で黒人のウィリーだった。ウィリーは自身が書いた小説をハリーに読ませるが、そこから少しずつ泥沼の関係に陥っていく。当時のアメリカ人の人種への意識を浮き彫りにした作品だ。



三国志の地味キャラ? 短気? 劉備の人物像をひも解く書『劉備玄徳の素顔』。

消費で政治や企業に立ち向かうアメリカの熱いムーブメントを知るための一冊『Weの市民革命』

社会の抑圧を少女視点で描く、 2018年ブッカー賞受賞作『ミルクマン』。