風をはらんだ帆をモチーフにしたファサードが一艘の巨大な船を思わせる、ルイ・ヴィトン メゾン 大阪御堂筋。その5階にエスパス ルイ・ヴィトン大阪が誕生した。オープン記念の「Fragments of a landscape(ある風景の断片)」展では、アメリカを代表するアーティスト、画家ジョアン・ミッチェルと彫刻家カール・アンドレの作品を紹介。天井高約5mという広々した空間にふたりの作品が贅沢に並ぶ。
ジョアン・ミッチェルは、1950年代に活動をスタートさせ、第二次世界大戦後に抽象表現主義の旗手となった女性画家。自然を忠実に表現したいという想いと、ファン・ゴッホから影響を受けた主観的で激烈な表現のパワーのぶつかり合いが、作品の骨格をなす。『Untitled』と『Cypress』は同じインスピレーションから生まれた作品で、黄色と紫が交錯する大画面が、鑑賞者を詩的な世界へ引き込む。
カール・アンドレは、1970年代初めにミニマル・アート運動を牽引したアーティスト。切り出した木や金属プレートなど素材そのものを追究し、象徴性を拒絶した。「Draco」は31個のベイスギの材木を組み立てた全長19メートルもの作品。展示室の中央に設置されることで来場者の動きを妨げ、展示空間の構造を強調している。
表現手段も作風もまったく異なるふたりの作品だが、空間に与える緊張感や、抽象表現の最終形がミニマル・アートともいわれることを考えると、それぞれが対峙し、対話しているようにも感じられる。
本展は、現代アートとアーティスト、そして現代アーティストのインスピレーションの源となった重要な20世紀の作品に特化した芸術機関「フォンダシオン ルイ・ヴィトン」の未公開の所蔵作品を世界各地のエスパス ルイ・ヴィトンにて紹介する「Hors-les-murs(壁を越えて)」プログラムの一環。会場にはフランク・ゲーリーが手がけた建物の紹介やフォンダシオンにまつわるインタビュー映像などが流れる。
観賞後は、ルイ・ヴィトン初のカフェ「ル・カフェ・ヴィー」での休憩がお薦めだ。松岡亮や小松宏誠といった注目のアーティストによる作品が飾られた空間で、日本各地の厳選食材を使ったスイーツや軽食を楽しめる。
「Joan Mitchell / Carl Andre - Fragments of a Landscape(ある風景の断片)」展
開催期間:〜7/4
開催場所:エスパス ルイ・ヴィトン大阪
大阪市中央区心斎橋筋2-8-16 ルイ・ヴィトン メゾン 大阪御堂筋 5F
TEL:0120-00-1854
開館時間:12時〜20時
不定休(ルイ・ヴィトン メゾン 大阪御堂筋に準じる)
入場無料、予約不要(会場内の混雑防止のため、入場制限あり)
https://www.espacelouisvuittontokyo.com/
※臨時休館や展覧会会期の変更、また入場制限などが行われる場合があります。事前にお確かめください。