1940〜60年代は機械式腕時計の黄金時代といわれる。ダイバーズウォッチなどの新分野や新機構はもちろん、時計史を彩る数々の傑作モデルを輩出。それらはロングセラーとして継承されるだけでなく、ヴィンテージの人気も高い。温かみのあるノスタルジックな雰囲気が、デジタル全盛の現代では魅力的に感じられるのかもしれない。
セイコーでも、60年代に製作した金字塔といえるコレクションに注目。当時のデザインを復刻または現代的にアレンジしたモデルを相次いで発表してきた。今年はセイコー創業140周年を記念して、「グランドセイコー」と双璧を成す代表作「キングセイコー」を忠実に再現。「キングセイコー“KSK”復刻デザイン」として世界限定3000本で発売した。
キングセイコーの歴史
ちなみに「キングセイコー」は1961年に誕生。こちらも60周年となるが、復刻されたのは65年に登場した2代目。初代にはなかった防水性能や、リューズを引いた瞬間に秒針が停止する「秒針規制装置」を備えていた。秒単位で正確な時刻合わせができることから、「キングセイコー」を意味するKSに「規制装置」のKを追加し、KSKと称されたといわれる。デザイン的には国産機械式腕時計の王道を築いた「グランドセイコー」とよく似ているが、直線的に造形された大きく堅牢なラグが象徴するように、エッジを際立たせたシャープでモダンな雰囲気が特長といえるかもしれない。
わずかな陽光も逃すことなく反射する多面カットの立体的なバーインデックスや、太く堂々と長く伸びた針はセイコースタイルの原点だが、12時位置がとりわけ印象的だ。斜めのライターカットが細かく刻まれた2つのブロックが角柱を挟み込んでおり、装飾的な技巧が施されている。
復刻したキングセイコーの特徴
細部まで丁寧に再現する一方で、ケース径は36.7㎜から38.1㎜にサイズアップ。風防も新形状のボックス型サファイアクリスタルを採用している。オリジナルはアクリルガラスだったが、その柔らかなイメージを受け継ぎながらも、より広々とした解放感を実現。サファイアクリスタルはダイヤモンドに次ぐ高硬度なので、視認性や耐傷性が格段に向上したことになる。
また、オリジナルは手巻きだったが、現行では最薄の自動巻き「キャリバー6L35」を搭載している。日付表示も追加されているが、スーツの袖口に収まりの良いスリムなフォルムは維持。実用性、耐久性、より高度な機能や品質を常に追求してきたセイコーの姿勢は、復刻モデルも例外ではないのである。
問い合わせ先/セイコーウオッチ お客様相談室 TEL:0120-061-012