北極圏からスウェーデンの奇祭まで。海外旅行へ行った気分になれる映画5選。

  • 文:細谷美香
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『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(ディスタンス)』はオーストリア・ウィーンの街並みを1日かけて散歩をするという、旅行気分を味わうにはうってつけの作品。(c)Everett Collection/amanaimages

大きなライフスタイルの変化が起こった2020年。ライブ配信など家で楽しめるエンタメが充実しつつある一方、依然として海外渡航はしにくい状況が続いており、旅行好きにとっては少し物足りない日々が続いているかもしれない。

気軽にまた海外へ遊びに行ける日はまだ先になりそうだが、せめて気持ちだけでもということで、「海外旅行へ行った気分になれる映画」を5作品紹介。すべて配信サービスで観られる作品をチョイスしているので、年末年始にぜひ家で楽しんでみてほしい。


1.北極圏のワイルドな大自然を味わえる。『LIFE!』
2.ウィーンの街並みを散歩しながら体験。『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(ディスタンス)』
3.サンタバーバラでワイナリーめぐりを。『サイドウェイ』
4. スウェーデンの不思議な村でお祭り気分! 『ミッドサマー』
5.ガウディの建築物を名女優たちの恋模様と共に。『それでも恋するバルセロナ』

1.北極圏のワイルドな大自然を味わえる。『LIFE!』

主人公をベン・スティラー(写真左)、冒険家のフォトジャーナリストをショーン・ペン(写真右)が演じる。(c)Everett Collection/amanaimages

雑誌『LIFE』の写真管理部で真面目に働くウォルター(ベン・スティラー)は、思いを寄せる同僚の女性に話しかけることもままならない不器用な男。けれどもイマジネーションの世界のなかではいつも、誰よりも強いヒーローのような存在になっていた。そんな妄想癖のあるウォルターが、著名な冒険家が撮った写真を探して旅に出る。

小さな世界のなかで安全に生きてきた主人公が、北極圏のグリーンランドやアイスランドといったワイルドな場所で映画を超えるような経験をし、外界との殻を壊していく物語。日常から飛び出す瞬間の映像と音楽の相性も抜群で、彼が味わった高揚感がそのまま伝わってくるかのよう。海外に旅立つことはままならない昨今だが、主人公の大冒険が新たな一歩を踏み出す勇気をくれる作品だ。



『LIFE!』
監督/ベン・スティラー
出演/ベン・スティラー、ショーン・ペン
2013年 アメリカ映画 1時間54分
Amazon Prime Videoでレンタル配信中。

2.ウィーンの街並みを散歩デートで体感。『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(ディスタンス)』



列車のなかで出会ったアメリカ人の青年・ジェシー(イーサン・ホーク)と、フランス人の女子大生・セリーヌ(ジュリー・デルピー)。途中下車してウィーンの街を歩くうちに恋に落ちるが、やがてそれぞれの日常へと戻る別れの朝が迫るーー。お互いを知っていくトラムの車中や車窓の風景、“電話ごっこ”をするカフェシュベール、『第三の男』にも登場するプラター公園の観覧車、夜明けのアルベルティ美術館などウィーンのスポットが映し出されている、旅先で生まれた恋を描くラブストーリーの傑作。

ふたりが偶然再会する続編『ビフォア・サンセット』の舞台はパリ。3作目の『ビフォア・ミッドナイト』ではギリシャの美しい海辺の街を舞台に、パートナーとなったふたりの心模様が描かれている。

『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(ディスタンス)』
監督/リチャード・リンクレイター
出演/イーサン・ホーク、ジュリー・デルピー
1995年 アメリカ映画 1時間41分
Amazon Prime Videoでレンタル配信中。

3.サンタバーバラでワイナリーめぐり。『サイドウェイ』


小説家になる夢をあきらめられず、離婚の痛手を抱えたままの中年教師マイルス(ポール・ジアマッティ)は、独身最後の旅で弾けたいという親友ジャック(トーマス・ヘイデン・チャーチ)に付き合って、アメリカで最も美しい街と呼ばれるサンタバーバラへ。

ワインの知識のあるマイルスと特にこだわりのないジャックのふたりが訪ねる場所として、サンフォードやファイヤーストーンなど実在のワイナリーが登場するほか、マイルスが恋に落ちるマヤ(ヴァージニア・マドセン)が働くレストラン「ヒッチング・ポスト」でピノ・ノワール、ハイライナーを飲むシーンも。

ロサンゼルスから車で約2時間、サンタバーバラのワイナリーめぐりの旅はいつか実現してみたい憧れのプラン! ワインの熟成と人生を重ね合わせて描き出す大人の寄り道ムービーを観ながら、計画を練るのも楽しそうだ。

『サイドウェイ』
監督/アレクサンダー・ペイン
出演/ポール・ジアマッティ、トーマス・ヘイデン・チャーチ
2004年 アメリカ映画 2時間10分
Amazon Prime Videoで配信レンタル中。

4.スウェーデンの不思議な村でお祭り気分! 『ミッドサマー』


あることで家族を失ったダニーが恋人や友人たちとともに訪れたのは、90年に一度の祝祭が行われるスウェーデンの村。花々が咲き誇る楽園に見えたその共同体が、やがて不穏な空気に包まれていく。

『ヘレディタリー/継承』で脚光を浴びたアリ・アスター監督が手がけた、真昼に見る悪夢のような美しい色彩とグロテスクな感覚が融合したスリラー。監督が世界中の祭や慣習などをリサーチして作り上げたという、明るすぎる“特別なお祭り”は、トラウマ級のインパクトを与えてくれる。軽率に足を踏み入れてはいけない場所を描き出したスリラーであり、沈まぬ太陽の光が降り注ぐ北欧の空気が体感できる作品であることは間違いないだろう。

ミッドサマー』
監督/アリ・アスター
出演/フローレンス・ピュー、ジャック・レイナー
2019年 アメリカ映画 2時間27分
Amazon Prime Videoで配信レンタル中。

5.ガウディの建築物を名女優たちの恋模様と共に。『それでも恋するバルセロナ』

本作は第66回ゴールデン・グローブ賞最優秀作品賞(コメディ/ミュージカル) 、第81回アカデミー助演女優賞(ペネロペ・クルス)を受賞するなど、高い評価を得た。(c)Capital Pictures/amanaimages

バカンスを過ごすためにバルセロナにやってきた、慎重派のヴィッキー(レベッカ・ホール)と奔放なクリスティーナ(スカーレット・ヨハンソン)。正反対のふたりはパーティで出会ったセクシーな画家、フアン・アントニオ(ハビエル・バルデム)に心惹かれるが、彼女たちの前にエキセントリックな画家の元妻・マリア・エレーナ(ペネロペ・クルス)が現われて、奇妙な四角関係がはじまる。

理屈や方程式を超えていく恋の楽しさを描くウディ・アレン監督作。スカーレット・ヨハンソンやペネロペ・クルスが演じたないものねだりな恋する女たちとともに、もうひとりの主人公ともいえるのがバルセロナの街並み。サグラダ・ファミリアやグエル公園、ティビダボ遊園地をはじめ、アントニ・ガウディの建築物がスクリーンのあちらこちらに登場し、ロマンチックな旅情をかき立ててくれるラブコメディになっている。

『それでも恋するバルセロナ』
監督/ウディ・アレン
出演/スカーレット・ヨハンソン、ハビエル・バルデム
2008年 アメリカ・スペイン映画 1時間36分
Amazon Prime Videoで配信レンタル中。