文字盤の左右が完全に対称で端正きわまりないデザインが魅力のA.ランゲ&ゾーネ「サクソニア」に、3本の新作が登場した。発表されたのは12月7日。この日は2つの特別な意味を持つ。創業者のフェルディナント・アドルフ・ランゲ(F.A.ランゲ)が175年前にグラスヒュッテに時計工房を設立した日であり、その曾孫にあたるウォルター・ランゲが1990年に同ブランドを復興した日でもある。第2次世界大戦後に東ドイツの国営企業に接収され、その伝統あるブランドが消失した歴史は時計ファンなら周知に違いない。
A.ランゲ&ゾーネ「サクソニア」新作の特徴
新しく追加されたのは、A.ランゲ&ゾーネのアイコンとも言える大型分割式日付表示を備えた「サクソニア・アウトサイズ」2モデルと、ケース厚が僅か6.2㎜の超薄型「サクソニア・フラッハ」1モデル。前者はこれまでブラックダイヤルがメインだったが、18Kピンクゴールドとホワイトゴールドのケースそれぞれにシルバーのダイヤルを設定。より高貴な気品と風格、そして若さを感じさせる雰囲気になった。
2針の「サクソニア・フラッハ」では、逆に特別仕様のブラックダイヤルを合わせている。このダイヤルは、無垢のシルバーをベースとしてゴールドストーン層を重ねており、表面で微細な粒子が光を反射して銅色にキラキラと輝く。知的でスタイリッシュなブラックダイヤルに、控え目ながらもエレガントな煌めきを添えたといえるだろう。
A.ランゲ&ゾーネ「サクソニア」の歴史
「サクソニア」の語源であるザクセンは、1918年にヴァイマール共和国が樹立されるまでは王国であった。壮麗なバロック建築が建ち並ぶ首都のドレスデンでは、華やかで洗練された芸術や高度な工芸が覇を競っていた。創業者のF.A.ランゲはこの都で時計技術を磨き、近郊のグラスヒュッテを高級時計産業の聖地に育て上げたのである。新生A.ランゲ&ゾーネも、その伝統や独自のスタイルを継承。各種のパーツを堅牢に固定する洋銀製4分の3プレートとグラスヒュッテストライプ、テンプ受けの装飾彫りといった様式美だけでなく、ハンドクラフトへの強いこだわりと情熱によって、分解しなければ見えないパーツまで丁寧に手をかけて仕上げられている。
その結果として、A.ランゲ&ゾーネのすべてのモデルは、金属があたかも宝飾のような華麗な存在感を放つ。とりわけ「サクソニア」はプレーンでオーソドックスなコレクションなので、シルバーダイヤルでもブラックの超薄型にしても、その魅力を純粋に堪能できるはずだ。何よりも、凜とした品格が毅然とした紳士の心を惹きつけてやまないのである。
問い合わせ先/A.ランゲ&ゾーネ TEL:03-4461-8080