“メタル”なビール店員が薦める、年末年始のご褒美クラフトビール5選。

  • 写真:齋藤誠一
  • 文:小松めぐみ
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アメリカ西海岸からブームが始まり、現在は世界中で人気が定着したクラフトビール。クリエイティブで自由なブルワリーが多いクラフトビール界では、常に想像を超える味わいの新作が創り出されている。今回話を聞いたのは、メタルバンド「Her Name In Blood」のベーシストとして活動しながらも、クラフトビール好きが高じて日本橋のブリューパブ「CRAFTROCK BREWPUB&LIVE(クラフトロック ブリューパブ&ライブ)」で働くMAKOTOさん。年末年始の自分へのご褒美にぴったりな、「これを選べば間違いなし」というお薦めの5本をセレクトしてもらった。セレクトのキーワードは「アメリカン」と「エクストリーム」。「クラフトビールに関しては最初の衝撃を大切にしています。いったんフルスイングのパンチを味わってほしいと思って今回の5本を選びました」という珠玉のテイストを、お気に入りの音楽をかけながら楽しんでほしい。


1.「パッション フルーツ モチ」――パッションフルーツとホップの甘い融合。
2.「ピーナッツ バター ミルク スタウト」――ピーナッツバター味の黒ビールは、予想外なまろやかさ。
3.「マンバ」――紅茶らしさが前面に出た、上品なペールエール
4.「チェリーバレルブロッサム」――ワインのように堪能したい、リッチで濃密な味わい。
5.「オルタナティブIPA」――果汁のみずみずしさが弾ける“鬼シトラス”なIPA

MAKOTO●メタルコアバンドHer Name In Bloodのベーシスト。2015年にバンドのツアーで訪れたアメリカ西海岸でクラフトビールに出合い、衝撃を受ける。その後、4年間で飲んだクラフトビールの銘柄は1,200以上、1年間にテイスティングするクラフトビールは350種類以上。クラフトビール好きが高じて2020年に日本橋のブリューパブ(クラフトロック ブリューパブ&ライブ)に入社し、バーマンとして活躍している。Her Name In Bloodは2021年1月22日より東京、名古屋、大阪、沖縄でツアーを開催予定。Instagram:@makotohnib

「パッション フルーツ モチ」――パッションフルーツとホップの甘い融合。

グレート ノーション「パッション フルーツ モチ」。パッションフルーツ味のモチをイメージしたミルクシェイクIPA。アルコール度7%。 原産国アメリカ。

ポートランドの人気ブルワリー「グレート ノーション」の、知る人ぞ知る人気銘柄。「フルーツ」と「モチ」という聞きなれない組み合わせだが、果たして味は……?

「僕はツアー中にクラフトビールを飲み歩いているのですが、これは札幌のクラフトビール専門店『ビアセラーサッポロ』で飲んで衝撃を受けたIPAです。アメリカでは日本の『雪見だいふく』のような餅アイスが人気なのですが、その“パッションフルーツ味”をビールに落とし込むのか!という発想に驚き、ノックアウトされました。グレート ノーションは、季節のフルーツを使った自由な発想のクラフトビールをたくさんつくっていて、中でも特に濃厚な味わいなのがこの『パッション フルーツ モチ』。パッションフルーツとスパイス、海塩が使われています。おつまみは、選ぶのに迷ったら万能選手のフライドポテトを。甘い味なので、デザートタイムにもお薦めです」

トロピカルな香りのミルクシェイクIPA。「みんなが笑顔になれる明るい味です」とMAKOTOさん。このタヌキの絵柄ように、グレート ノーションは缶のイラストもインパクトが強い。

「ピーナッツ バター ミルク スタウト」――ピーナッツバター味の黒ビールは、予想外なまろやかさ。

ベルチングビーバー「ピーナッツ バター ミルク スタウト」は、このブルワリーを代表するミルクスタウト。アルコール度数5.3%。 原産国アメリカ。

サンディエゴのブルワリー「ベルチングビーバー」の一番人気の黒ビール。「ベルチングビーバー」が最初につくったビールであるミルクスタウトに、アメリカ人の大好物であるピーナッツバターをかけ合わせた「ピーナッツ バター ミルク スタウト」は、MAKOTOさんが「ビールショップで見つけたらすぐにカートに入れる」というくらいお気に入りの一本だ。

「黒に近い色から重たい味わいを想像しがちですが、ピーナッツバターの風味に続いてチョコレートやローストコーヒーのアロマが現れる、まろやかで飲みやすいビールです。ピザと相性がいいので、年末年始に人と集まってピザを取り寄せる時などに、ぜひこのビールを合わせてみてください。味が甘すぎると思う場合は、ピルスナータイプのビールと半々に割って飲むのもお薦めです」

ピーナッツバター風味のミルクスタウトは、「World Beer Championships」「West Coast Craft Can Invitational」「Los Angeles Beer Competition」など、さまざまなコンペティションで多数のメダルを獲得している。

「マンバ」――紅茶らしさが前面に出た、上品なペールエール

ギルガメッシュ「マンバ」。エール。アルコール度数6.5%。 原産国アメリカ。

オレゴン州ポートランドの南に位置する「ギルガメッシュ・ブルーイング」は、さまざまなスタイルのビールをつくっているブルワリー。「マンバ」はMAKOTOさんが札幌ツアー中に、「ビアセラーサッポロ」の友人に教わったという、個性的なビールだ。

「クラフトビールの原料に紅茶が使われること自体は珍しくありませんが、ここまで紅茶の特徴が前面に出たビールは珍しい。紅茶のアールグレイの香りにオレンジの香りがのって、ベースのビールと共存としている奇跡の一本です。酸味はなく、いい意味で渋みがあり、ティータイムのノリで飲める上品な味わいです。クラフトビールと料理を合わせる場合は、味の近いもの同士がうまくいきます。『マンバ』なら紅茶味のビスケットなどですね」

紅茶、タンジェリンピール、ベルガモットとライ麦を使用した、やさしい口当たりのペールエール。名前の「マンバ」は毒蛇の名前。「ビアセラーサッポロ原宿店」などで購入できる。

「チェリーバレルブロッサム」――ワインのように堪能したい、リッチで濃密な味わい。

ファイアストーンウォーカー「チェリーバレルブロッサム」。インペリアルスモークドポーター。アルコール度数11.2%。 原産国アメリカ。

こちらは、MAKOTOさんが「贅沢」をキーワードに選んだポータービール。「ファイアストーンウォーカー」は、カリフォルニア州南部サンタバーバラで、木樽を使用したビールの主発酵を行っている小さなブルワリーだ。

「今回の5本の中で、いちばんリッチで濃密な味わい。『ファイアストーンウォーカー』のラインナップの中で高価格帯に位置する人気商品、「バレルエイジドシリーズ」の新作です。『チェリーバレルブロッサム』は野生酵母で醸造し、ウイスキー樽で寝かせて燻香を付けたポータービール。バルーングラスに注ぎ、ワインのように温度変化も楽しみながら香りを楽しんでください。スイーツとの相性がよく、特にブラウニーがお薦め。塩の付いていないアーモンドや生ハムなどもよく合います」

ファイアストーンウォーカー定番のスモークポーターをバーボン樽とチェリービター樽で熟成させ海塩を加えた、2020年の新作。炭酸は控えめ。

「オルタナティブIPA」――果汁のみずみずしさが弾ける“鬼シトラス”なIPA

クラフトロックブルーイング「オルタナティブIPA」。アルコール度数6%。 原産国日本。

「クラフトロック ブリューパブ&ライブ」に併設されている醸造場「クラフトロックブルーイング」では、ブルワーが好きな音楽から自由に発想したビールをつくっている。この「オルタナティブIPA」はブルックリンの人気バンド、パーケイ・コーツ(Parquet Courts)の「Wide Awake」にインスパイアされた定番銘柄。MAKOTOさんいわく「うちのビールはとにかくフレッシュ。ホームパーティの手土産に持っていくと、醸造したての特別感と1ℓ缶の大きさがウケます。『オルタナティブIPA』はホップに由来するグレープフルーツの香りと、枯れ草っぽいニュアンス、モルトの甘みが特徴的です」。

最近は2019年の初醸造時よりも度数と苦味のレベルが上がり、より飲みごたえのある味わいに進化した。ぜひお試しを。

肉料理と抜群の相性。オンラインショップ(https://craftrockbrewing.stores.jp)では1ℓ缶ビール2本セットで販売中(¥2,560)。店頭では1ℓ缶を1本から購入可。音楽スタジオ「リンキィディンク」(https://rinky.info)でもペットボトル版を購入できる。

MAKOTOさんは、日本橋のブリューパブ「クラフトロック ブリューパブ&ライブ」でバーマンとして活躍中。店内では併設のブルワリーでつくられたフレッシュなビールと、厳選されたゲストビール、フードが楽しめる。直接ビールの話を聞きたい方は、ぜひ店に飲みに行ってほしい。

CRAFTROCK BREWPUB&LIVE

東京都中央区日本橋室町三丁目2-1 COREDO室町テラス 1F
TEL:03-5542-1069
営業時間:11時~14時30分L.O.、17時~22時30分ドリンクL.O.(平日) 11時~22時30分ドリンクL.O.(休日)
https://craftrock.jp/brewpub