ニューヨークと東京を行き来しながら、ストリートカルチャーをはじめ多様なジャンルにインスパイアされた作品を制作するSHUN SUDO。六本木のANB Tokyoで、新作ペインティングを集めた3階ギャラリーと、実際にこの場で制作した壁画と旧作を展示する6階スタジオの2フロアで構成する個展『2020』がスタートした。新型コロナウイルスのパンデミックや人種差別への反対運動の拡大など、地球規模でショッキングなできごとが起こった1年を振り返るために、2020年をテーマに制作を行うことを決めたという。滑らかな線描と色鮮やかな花が印象的な3点組の作品について、次のように説明する。
「街にいる人たちはみんなマスクをして、新型コロナ禍で警戒して人と顔を合わせないようにして歩いています。しかし、その人たちには感情があって、心の内側からは温かいものがあふれて広がっているはずです。そういう意味を花に込めて描きました。僕は絵で悲しいメッセージだけを伝えるのはイヤなので、そこにポジティブな思いを込めて花を描いたんです」
幼い頃から絵を描き続け、世界を放浪しながら独学でアートを学んだSHUN SUDO。イラストレーターとして活動をスタートし、広告や雑誌、カタログなどでジャンルを問わず制作しながら技術を高め、2015年にはクライアントワークではなく自身の作品を発表すべく初の個展『PAINT OVER』をニューヨークで開催。文化もジャンルもクロスオーバーし、オリジナルのキャラクターを表現した作風が高く評価された。今回の個展ではその作風をベースに、社会的な視点とポジティブなメッセージを融合させた新作の数々が発表された。
ボタン・フラワーのモチーフに込めた思いとは?
6階のスタジオに移動すると、アーティストの制作現場の温度を体感することができる。テーブルに並ぶ画材、壁面に貼られたラフスケッチ、そして滞在制作された壁画。公開制作を行なった際のライブ感や、オープンスタジオの展示によって作家のスタジオ風景を楽しんでもらえた経験から、2フロアを効果的に活用するためにコンセプトの異なる展示を計画したという。
「東京では大きな壁画を描ける空間というのも限られているので、ここでは来場者の皆さんにこのサイズ感もあわせて楽しんでいただけると考えました。会期が終わったらこの赤いボタン・フラワーは消えてしまいますが、それもストリートアート。きっと次のアーティストがまたおもしろい作品を描いてくれると思います」
このボタン・フラワーは、繰り返し描かれてきたモチーフだ。戦争や悲劇的な状況でも癒しを与え、生命を感じさせてくれる存在である花。その中央に描かれたボタンは、世界地図を想像しながら描いたのだという。
「ヨーロッパを中心とする世界地図で、日本は右端に描かれたファーイーストです。その世界地図をジャケットに見立てると、それを着て前で止めるボタンの場所が日本のあたりだと思うんですね。世界を包んでつないでくれるピースアイコンになったらいいなと思って、このボタン・フラワーを描き続けています」
どんな状況でも希望を見つけ、誰もがハッピーに過ごせる世界を実現できないか。アートでそうした世界を提示し続けるSHUN SUDOの個展で、ポジティブなバイブスを全身で感じて欲しい。
SHUN SUDO個展『2020』
開催期間:2020年12月10日(木)〜12月27日(日)
開催場所:ANB Tokyo 3F&6F
東京都港区六本木5-2-4
開館時間:12時〜18時
※金・土曜日は20時まで
※オンライン事前予約制で10名/毎30分程度の入場規制あり。
休館日:月
入館料無料
https://taa-fdn.org/events/610/
https://www.instagram.com/shun_sudo/