近年のコム デ ギャルソン(以下、ギャルソン)は、オム プリュス、ジュンヤ ワタナベ マン、オム、シャツといった各ブランドが、ほぼ毎シーズンのようにスポーツスニーカーとコラボしている。その相手もニューバランス、ナイキ、アシックス、ヴァンズなど多岐にわたる。ギャルソンのコラボスニーカー自体はいまや希少な存在ではないはずだが、なぜどのモデルも毎シーズン人気を集めるのだろうか。その最大の理由は、「デザインが優れているから」に尽きるだろう。ベースとなる既製品の素材がブラッシュアップされ、色やディテールは再構築され、都会的な一足に仕上げられる。スポーツユースの機能性は尊重されながら、より洗練された美意識が投影される。コラボによってベースモデルを別次元に押し上げるのが、ギャルソンの実力なのだ。
9月より店頭に登場する、コム デ ギャルソン・オムとニューバランスとの新作「コム デ ギャルソン・オム×ニューバランス プロコート カップ(COMME des GARÇONS HOMME×New Balance PRO COURT CUP)」もそのひとつ。ベースとなるのは、1970年代後半にテニスなどで履くコートシューズとして登場した「CT400」のソールをラバーカップソールに変更した「プロコート カップ」だ。通常品は、アッパーにナイロン、キャンバス、スエードなどの異素材を使っているが、本モデルはストイックに黒と白のオールレザーに載せ替えている。陰陽のごとく黒モデルにはわずかに白が使われ、白モデルには黒がアクセントに使われている。ステッチを強調したソールによる、ワークブーツのような貫禄も印象的だ。
コラボを主張するロゴが、表側ではヒール部分の頭文字「CdGH」だけなのも実に洒落ている。靴を履く時にインソールの大胆なロゴが目に飛び込む仕掛けもニクい。コム デ ギャルソン・オムの現デザイナーは、コム デ ギャルソン・ジュンヤ ワタナベ マンを手がける渡辺淳弥だ。長年にわたりニューバランスとのモノづくりを続ける彼が生み出す完成度の高い一足は、いいモノを知る大人にこそよく似合う。
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