ブラックで統一したモダンなケースとダイヤルベースに、伝統的な機械式複雑機構を搭載。やや大きめの時分計をトップとして、トゥールビヨンとGMT(第2時間帯表示)のインダイヤルを同サイズでトライアングルに配置した世界10本限定のコンプリケーションが登場した。
スイス・ジュネーブの時計ブランド、チャペックが手がけた「プラス・ヴァンドーム ダークマター」は、グレード5のチタンケースをADLCコーティング。ダイヤモンドに匹敵する硬度を備えた炭素皮膜で覆っているため、傷がつきにくい。ダイヤルベースはサンドブラスト仕上げのブラックであり、インダイヤルと同じく左右対称に埋め込まれたビスが機械式複雑時計であることを印象づける。トゥールビヨンとGMTのインダイヤル、その間にレイアウトされた昼夜表示を支える3つのブリッジもやはりブラックのPVDコーティング。ただし、ダイヤルのリングだけはブラックエナメルであり、漆黒が支配する中で美しい艶光を見せる。
まさに「ダークマター」というモデル名にふさわしいブラックのコンビネーションだが、左側の大口径トゥールビヨンは1分間で1回転。あたかも惑星を従えた恒星系のようにダイナミックに動く。右側のダイヤルは12時間表示のGMT。その昼夜インジケーターは月夜と陽光をデザインしており、こちらはウィットを感じさせる。
時計通なら、チャペックという名称でブランドの由来が閃いたかもしれない。1839年にポーランドからの亡命貴族、アントワーヌ・ノルベール・ド・パテックはジュネーブで時計会社を設立。これがスイス屈指の超高級時計ブランド、パテック・フィリップのルーツだが、彼のパートナーがフランソワ・チャペックだったのである。6年後にパテックを離れて自らのブランドを立ち上げ、パリのヴァンドーム広場に最初の時計ブティックを開くほど成功した。長きにわたる休眠期間を経て、ブランドが復活したのは2015年。この輝かしい歴史にオマージュを捧げたコレクションが「プラス ヴァンドーム(ヴァンドーム広場)」であり、この「ダークマター」は洗練された複雑機構を現代的なセンスとテクノロジーでデザインしたことから“バッドボーイ”の愛称を持つという。
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