新オープンの「ユニクロ パーク 横浜ベイサイド店」は、佐藤可士和が構想した“建物まるごと遊べる公園”だ。

  • 文:海老原光宏
Share:

2020年4月13日にオープンした「ユニクロ パーク 横浜ベイサイド店」の1階メインエントランス。カラフルなロゴやバルーンが目に入り、楽しげな印象だ。

2020年4月13日(月)、ユニクロが神奈川県横浜市金沢区に新コンセプトの大型ストア「ユニクロ パーク 横浜ベイサイド店」をオープンした。ファーストリテイリングのもうひとつの基幹ブランド、ジーユーも擁するファミリー向けの複合店舗だ。

この店舗のトータルプロデュースを手がけた佐藤可士和がグランドコンセプトとして掲げたのは、「店舗でありながら公園でもある」というもの。建築設計の基本構想とデザイン監修は、日本を代表する建築家のひとりであっる藤本壮介が務め、アイコニックな地上3階建て店舗が誕生した。

階段状になったエクステリアは公園になっており、子どものための教育玩具の提供や屋内外での遊び場づくりを行う企業であるボーネルンドが監修した滑り台やジャングルジム、ボルダリング設備などが配されている。屋上では、天気がよければ東京湾や海ほたるを展望できる気持ちのいい場所だ。飲食物の持ち込みも可能だという。

海に向かって階段状になったユニクロ パーク 横浜ベイサイド店。カラフルなユニクロ パークのロゴが目に留まる。

屋上に設けられた公園。奥に見える東京湾を背景に、世界の知育玩具を提供する会社ボーネルンドの遊具で遊べる。植栽されたオリーブの木は、ユニクロが2001年から支援している「瀬戸内オリーブ基金」が助成する瀬戸内のボランティア団体が育てたものだ。

モードファッションへの入り口になる、コラボコレクションのキッズライン

階段裏に設けられたキッズスペース。側壁にはサステナビリティに関するディスプレイが据えられ、楽しみながらユニクロの取り組みを学べる。

店内1階はユニクロ、2階はジーユー、3階は両ブランドのベビー・キッズウエアで構成される。1階ではユニクロ初となる生花も販売されており、ブランドコンセプト“LifeWear”を服以外で表現したアイテムとなっている。また、随所に子どもを楽しませる仕掛けがある。1階ではウイメンズコーナー付近、階段裏のデッドスペースに、子どもの遊び場を設置。ユニクロのサステナビリティへの取り組みを遊びながら学べる場だ。自分の描いた絵や写真をTシャツやバッグにプリントして楽しめる「UTme!」コーナーでは、子どもが描いた絵もプリントして楽しめる。さらに3階にはボーネルンドによる磁石を用いた遊び場が登場と、まさにファミリーにフォーカスしたコンテンツといえる。

ユニクロ パークの着想は数年前に遡り、来店自体が目的となるディスティネーションストアをつくることから計画されたという。このユニクロ パークに隣接し、リニューアルオープン予定の三井アウトレットパーク 横浜ベイサイドは、1998年にオープンした本格的アウトレットモール。ファミリー層である多くの地元顧客がここを目的に訪れてきた。そして眼前の海を臨む十分な土地面積が、ユニクロ パーク出店の場となった。

自分だけのオリジナルプリントTシャツをつくれるUTme!コーナー。当店限定のプリントが提示されている他、地元の幼稚園に通う子どもたちが描いたサンプルも展示。その場でTシャツやトートバッグにプリントしてくれる。

ユニクロ初となるフラワー販売コーナー。賑やかな店内により華やかさを添えている。1束¥429(税込)、3束¥1,089(税込)

いまやユニクロはグローバルに店舗展開し、身の回りで商品を持っていない人を見つけるのが難しいほど、人口に膾炙している印象だ。子どもたちは未来の顧客であり、十数年後の購買層を育てることはブランドにとって重要なこと。ユニクロ パークはちびっ子たちにユニクロ、ジーユーというブランドの楽しさを印象づけていくだろう。

またアイキャッチとなるスポットに展開された、ユニクロ アンド ジェイ ダブリュー アンダーソンでは、今シーズンからキッズウエアがデビューした。ベーシックなテイストの中にモードが香るこのカプセルコレクションは、子どもがファッションに興味をもつ入り口になるだろう。ユニクロが子ども向けの展開に力を入れる姿勢が、このことからも感じられる。

3階はユニクロとジーユーのベビー、キッズウエアのみを展開。木製の什器も遊具のようだ。

店頭に並ぶユニクロ アンド ジェイ ダブリュー アンダーソンのウエア。キッズラインが初登場する今季は、ギンガムチェックなどクラシックなデザインに遊び心が加わったスタイルだ。

ユニクロの商品は、一部のコラボレーションコレクションを除き、全国どこの店舗でも同様のアイテムが手に入る。ましてやオンラインストアでも購入できるが、ブランドとしてのアティチュードを醸成するのは、今回紹介したような買物に付随する体験も大きい。消費者とのコミュニケーションの重要性をよく理解していると感じさせる店舗づくりだ。

この店舗は、ユニクロの新しいイメージを訴求する、今春オープン予定の大型3店舗のひとつに含まれている。他の2店舗のうちひとつは、若者の集まる原宿に立地する原宿店。ユニクロ・ジーユー公式のコーディネートアプリ「スタイルヒント」と連動したコーナーが設けられる。もうひとつは、大人が過ごすマロニエゲート銀座に入る「ユニクロ トーキョー」。プラダ青山店などを設計したスイスの建築家ヘルツォーク&ド・ムーロンが、外装改修と内装の一部をデザインする。ユニクロのイメージをそれぞれの客層に向けてアップデートする、意欲にあふれた3店となりそうだ。後続する原宿や銀座の店舗にも、注目が集まるだろう。

ユニクロ パーク 横浜ベイサイド店
ジーユー ユニクロ パーク 横浜ベイサイド店

神奈川県横浜市金沢区白帆6-5
TEL:045-350-5057
営業時間:10時~20時
無休 
www.uniqlo.com/jp/ja/contents/feature/yokohama/
※諸事情により2020年4月16日現在、当面は10時~18時の短縮営業。
事前にサイトで確認をお薦めします。