いまファッションに求められる、サステイナビリティ。人気のブランドは、どのようにアイテムに落とし込んでいるのか。最新事情を追った。
ヘルノ──素材と染色で、環境負荷を軽減。
今後のコレクションを、エコサステイナブル基準を満たすアウターで構成することを目指すヘルノ。その第一弾としてのプロジェクトが、この春夏に誕生したヘルノ「グローブ」だ。いちばんのポイントはリサイクルナイロンのファブリックを使用しているという点だが、こだわりはそれだけじゃない。素材だけでなく染色も植物由来。天然色素配合率50%で、環境負荷の軽減に配慮されている。内側にそれぞれの染色の原料がグラフィックで描かれているのもユニーク。身に着ける方も、こういった証明が明確にあると、環境問題に参加できている実感がわき、どこか有意義な気持ちになる。
ジェイエムウエストン ──ヴィンテージの再生プロジェクト
今年1月にジェイエムウエストンが発表した「ウエストン・ヴィンテージ」が話題だ。これは、役目を終えた同ブランドのシューズを回収し、修理・修復。新品のように蘇らせるというブランド初となるサステイナブルな取り組みのことだ。そもそもリペアやメンテナンスしながら大切に長く履き続けることを前提としたジェイエムウエストンのシューズ。これまでも、修理工房では年間約10,000足のシューズの再生に取り組んできており、その数はフランス国内トップクラス。そのフィロソフィーを次なるステージへと引き上げた格好だ。本国では先行して販売が開始されているが、青山店では4月中旬から。本プロジェクト始動を記念した特別なデザインも展開予定。それも見逃せない。
オール ブルース──ジュエリーも、再生素材の時代。
供給過多で既に飽和状態のマーケット。不要となってしまったものに価値を付加し、新しいクリエイションを生み出す。そんな再資源化の理念をもともともち合わせているオール ブルースでは、再生されたスターリングシルバー、または18カラットのゴールドを用いて、ジュエリーが制作されている。ラグジュアリーな宝飾マーケットはリサイクルという概念に対して保守的だ。これはそんな業界に対しての挑戦ともいえる取り組みとなる。
無印良品──まだ着られるから、「ReMUJI」
ユーザーが長年愛用してきた服を回収し、資源としてエネルギーに変えていく取り組みにかねてから参加している無印良品。中にはまだまだ着られる服があることを気にかけていた同ブランドは、2015年からそれをリユースするプロジェクトをスタート。それが「ReMUJI」だ。プロセスはシンプル。回収した服を藍色に染め直し、また着られる服へと蘇らせる。日本には古くから布を染め直して再利用する文化があることにヒントを得た。既に多くのアイテムがこの工程を経て再び店頭に並んでいる。ちなみに、リユースできないアイテムはエネルギーとして再生するなど、無駄がない。ひと手間かけるだけで価値あるものに変わる。その発想が、素晴らしい。
こちらの記事は、2020年 03月15日号 Pen「TOKYO STYLE 2020」特集からの抜粋です