ゼンマイを動力としながらも、水晶振動子で精度を制御する「スプリングドライブ」は、1999年にセイコーが独自開発。「高精度を実現した機械式」あるいは「電池とモーターのないクオーツ」ともいわれる第3の駆動方式だ。このムーブメントをさらに発展・進化させた「スプリングドライブ 5Days」(キャリバー9RA5)が、600m防水のプロフェッショナル・ダイバーズモデルに搭載されてデビューした。
この名称からわかるように、パワーリザーブをこれまでの約72時間(3日間)から120時間(5日間)に大幅延長したことが際立った特長。サイズの異なるふたつの香箱(ゼンマイを収納)を組み合わせた「デュアルサイズバレル」によって、ロングパワーだけでなく、最適なトルクが得られるという。
心臓部にあたるICと水晶振動子では、新たな試みとして両者をひとつの真空パッケージに封入し、温度差や湿度変化から保護することで、精度も平均月差±15秒から±10秒にアップグレードしている。ちなみに、一般的な機械式時計はクロノメーター規格でも「日差」で評価されるため、ゼンマイ駆動では破格の高精度だ。
また、ローターの回転を利用してゼンマイを自動巻き上げする「マジックレバー」を、ムーブメントの中心からオフセットして配置することで薄型化も実現。リューズ位置も可能な限りケースバックに寄せて重心を低くしており、さらに腕乗りのいいバランスになった。一方で、ムーブメントの中心近くにまとめた歯車の軸を「ワンピースセンターブリッジ」と呼ばれる1枚のプレートで支えているため、衝撃にも強い。
この新ムーブメントを搭載したダイバーズモデルは、深海でも視認性の高い蓄光塗料付きの大きな時分針がアクセント。クオーツのモーターは回転トルクが低いため、ゼンマイの強力なパワーを活用でき、精度も卓越したスプリングドライブは、ダイバーズモデルにとって絶好のコンビネーションなのである。
国産腕時計を代表する「グランドセイコー」が誕生して今年で60年。セイコーウオッチは次の歴史を拓く自己革新に着手した。このスプリングドライブ 5Daysが、その輝かしい第一弾であることも見逃せない魅力といえるだろう。
問い合わせ先/セイコーウオッチお客様相談室 TEL:0120-061-012