キム・ジョーンズがメンズ アーティスティック ディレクターを務める「ディオール」はモードを牽引する存在だ。年明け早々に店頭に並び始める2020サマー メンズ コレクションでは、トラベルバッグブランドの「リモワ」や現代アーティストのダニエル・アーシャムとコラボレーションし話題をさらっている。ウィットあふれる小物に、男の物欲がくすぐられる。

「ディオール＆リモワ」カプセルコレクションでは、リモワのアイコニックなアルミのスーツケースをリサイズしたクラッチが注目を集めている。もちろんトラベル用スーツケースも各サイズでディオールの柄を纏って登場。11月にオープンした渋谷パルコの1階ポップアップショップで2020年1月21日まで全国に先駆け先行発売しているので、このホリデーシーズンにのぞいてみてはいかがだろうか。1月からは順次、他のディオール ブティックでも販売開始となる。

サマー 2020 メンズコレクションはダニエル・アーシャムの世界観を表現している。色を認識することができず、見たものが白黒にしか知覚されないアーシャムの儚い色の世界を描いているのだ。アーシャムはフィクションとしての考古学をテーマに、真っ白に朽ちる未来の世界を創造。そのため現代のさまざまなものを化石として表現する。ディオールのアイテムも石膏で手がけられたものや、ひび割れて朽ちたようなディテールが取り入れられたものが登場。

メゾンのアイコンである“サドル”バッグは、アーシャムが型取りし、３Dプリンターで石膏を用いて出力している。もはやアートのような存在感を放ち、バッグとして使えるが、オブジェとしても映えるだろう。

重厚なワークブーツはアーシャムの儚い色世界のように、半透明のラバーでつくり、とても軽やかな佇まいに変身。ソックスとのレイヤードを楽しめるファッションアイテムに進化した。

なお、ここで紹介したモノクロのタイプ以外にも、アーシャムが色覚補正メガネで見たという淡いピンク、ブルーを用いた軽やかなカラーも揃う。

ファッションとアートがタッグを組むとなると、表面的なコラボレーションものも少なくないが、ディオールは見事にアーシャムの退廃的世界をファッションで表現している。どこか遊びが感じられる、チャーミングなキム・ジョーンズのディオールは、大人の余裕とウィットを演出してくれる。まだまだ寒い季節だが、まずは小物から春夏の気分を取り入れてみてはいかがだろうか？