2019年7月16日まで、表参道ヒルズ 西館1Fの表通りに面したスペース「表参道R-STUDIO」にて、フランスのユニセックスなフレグランスメゾン「ディプティック」のポップアップストアが開催中です。中心となる展開アイテムは、色でメゾンを代表する原料を表現した新デザインの5種類の香り、「ロー マテリアルズ イン カラーズ(Raw Materials in Colors)」。これらは定番の香りのパッケージやボトルを変え、使うシーンを提案して新たな魅力を演出したものです。さらに、ボトルのサイズは新しい小ささの30mlで登場。ディプティック初心者でも購入しやすく、贈り物にもぴったり。ストアの空間もポップで、夏のリゾート気分に満ちています。
今回のプロダクトをはじめとするクリエイティブを統括するのが、来日したディレクターのミリアム・バドー(写真は記事の最後)。デザインがディプティックにとってどれほど大切なのかを、ブランドのルーツまで遡って語ってくれました。まずは東京のポップアップストアのエピソードから伺いましょう。
「イベントのテーマは『旅行』です。店にあるどれもが旅行に基づいています。5種類の香りは世界各地で最も人気のあるものから選びました。ここに “世界” という、旅行に関わるキーワードがあります。香りはそれぞれ国や土地がイメージされています。『ロンブル ダン ロー』はイギリスのイングリッシュガーデン、『フィロシコス』はギリシャ、『タム ダオ』と『ド ソン』はベトナムというように。これらを旅に持っていける大きさの30mlの小型ボトルに収めました。旅の必需品であるポーチ付きのコフレもストアで販売しています。そして決め手は、特別に用意した100種類のポストカード。旅行にはポストカードが欠かせませんよね」
デザインと香りは、同時進行でつくられる。
新パッケージに描かれているのは、調合されている原料の植物。この絵の色はディプティックが香りごとに変えて使っている3色のラッピングペーパーの色です。こうした統一感のあるデザインを監修するのもバドーの仕事です。
「通常のフレグランスは、透明なボトルでラベルもモノトーン。でも箱を包むラッピングペーパーはカラフルにしています。製品をプレゼントで贈られた人が、最初に目にするのが “色” なのです。ひとつの香りにつき必ず3色を使い、新しい香りをつくる時に同時進行で色も決めていきます。こうしたデザインのプロセスは、1961年に創業したディプティックの重要なDNAです。なぜならディプティックは、インテリア用のテキスタイルからスタートしたメゾンだから。フレグランスのラベルに描かれた絵は香りの物語。創業者の旅の思い出から着想されています。関わる4名の調香師と20名のデザイナーが生み出すストーリーがあるからこそ、世界中に多くのファンをもつメゾンになれたと考えています」
創業者3名のうち1名はイギリス人の画家でした。彼が好んだアール・ヌーボー的な作風のイラストレーターであるオーブリー・ビアズリーや、テキスタイルデザイナーのウィリアム・モリスの世界観が、現在もディプティックの根幹に流れています。オーバル(楕円形)を多用したラベルやボトルの形状もまた、昔から受け継がれているDNAです。
「テキスタイル用にデザインした初期のオーバル模様が始まりです。これはローマ時代の戦士の盾をモチーフにした図案なんですよ」
四角形だったボトルがオーバル型になったのは約7年前。2006年にバドーがディプティックに入社してから、さまざまなアイデアでメゾンの輪郭をはっきりとさせてきました。アワーグラス型のディフューザーのように、同一の香りをあらゆる場所でアレンジして使えるプロダクトを誕生させたのも彼女です。香り好きな女性のみならず、デザイン好きな男性も夢中にさせてきたディプティック。ポップアップストアを訪れたあとに青山の旗艦店にも立ち寄れば、彼らの奥深い世界にハマってしまうこと間違いナシです!
ディプティック フレグランスポップアップストア
2019年6月27日(木)〜7月16日(火)
東京都渋谷区神宮前4-12-10 表参道ヒルズ西館 1F 「表参道R-STUDIO」
営業時間:11時〜21時(最終日は18時まで)