手をかけて育てる楽しみのある「ちょっと古いクルマ」と、歴史とともに培われた技術力によって進化した「長く愛せる新車」。どちらも甲乙付けがたい魅力があふれているのは、よりよいクルマを目指して自動車エンジニアが注いだ情熱があるからこそ。新旧2台のクルマから、その情熱を感じてください。vol.3はトヨタRAV4とトヨタC-HR です。
新しいジャンルを創る、パイオニア精神に満ちた2台。
目の前に止まっているだけで、躍動感のある走りをイメージさせてくれるクルマがあります。それこそデザインの力なのでしょう。トヨタC-HRもまさにそんな一台です。2016年末に発売されると大反響を呼び、17年上半期には国内SUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)新車販売台数1位を獲得しました。コンパクトSUVは欧州や中国、北米などでも伸長著しく、各メーカーがこぞって力を注いでいるカテゴリーですが、C-HRはこの激戦区で結果を残すべく開発された世界戦略車です。また、いままでクルマに見向きもしなかったような若者を振り向かせるために、よりフレッシュなブランドイメージの構築を牽引するという重要な役目も担っています。
通常のモノコック構造で、驚くほど使いやすかった。
いまや大人気のコンパクトSUVですが、その存在を身近なものにしたのが、1994年に登場したトヨタRAV4です。80年代に巻き起こったRV(リクリエーショナル・ビークル)ブームの主役たち、たとえば初代三菱パジェロは本格オフロードモデルのように頑強なラダーフレームを用いていたけれど、RAV4は一般的な乗用車と同じモノコック構造を採用したパイオニア。その上で、余裕のあるロードクリアランスを確保したプロポーションにし、フルタイム4WDシステムを採用することで幅広い使用環境に対応する優れた走破性を身につけていたのです。
武骨なラダーフレームをもたないため車重を軽くでき、軽快な走りを楽しめ、背が高くてもフロアのフレームが邪魔にならないので、乗降性も悪くありません。つまり、セダンやワゴン、ハッチバックなど「普通の乗用車」のように使い勝手がよかったのです。
その上、RAV4は実にスタイリッシュでした。角を取り、全体的に丸みを帯びたエクステリアは、いま目にしても新鮮で、なおかつ心を揺り動かすような個性があります。卓越した走破性と乗用車としての乗り味や快適性を絶妙にバランスさせたところにRAV4の新しさがあります。デザインにも多くの人々が「これまでになかったクルマ」の誕生を感じたに違いありません。そして、RAV4は国内だけでなく欧州を中心とした世界各地でも販売され、トヨタのヒット作となったのです。
小型RVのDNAを受け継ぎつつ、さらなる飛躍を目指す。
20年以上を経たいま、C-HRはRAV4が切り開いた道でさらなる飛躍を目指しています。TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)と呼ばれるクルマの基本骨格を採用したこともトピックです。クルマづくりを根本から見直し、さらにきめ細かくチューニングを施すことで、走りの質を徹底的に高めました。斬新なエクステリアの中には、体幹を鍛え上げた筋肉質な肉体が隠されているのです。トヨタの小型RVのDNAを受け継ぎつつ、細部を徹底的に煮詰め、欧州市場も視野に入れたパイオニアです。
こちらの記事は、2017年Pen10/15号「いまならどちらを選びますか? ちょっと古いクルマ、長く愛せる新車。」特集からの抜粋です。気になった方、ぜひチェックしてみてください。アマゾンで購入はこちらから
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