アルファロメオ初のSUV「ステルヴィオ」は、走りと機能をいいとこ取りした現代のステーションワゴンでした。

  • 写真&文:Pen編集部
Share:

FRレイアウトを採用するアルファ ロメオ・ジュリアのSUV版、アルファ ロメオ・ステルヴィオ。全高は約15㎝ほど引き上げられ、アルファ ロメオ創業108年の歴史のなかで初のSUVとなります。

アルファ ロメオ初のSUV「ステルヴィオ」。4ドアセダンの「ジュリア」をベースとし、ミッドサイズのプレミアムSUVとして誕生したこのクルマのライバルは、BMWX3、アウディQ5、ボルボXC60など。プレミアムSUVの激戦区に登場したステルヴィオは、欧州、アメリカで先行販売され、いよいよ日本に上陸しました。試乗会が行われたのは軽井沢。4ドアセダンのジュリアは評判もよく、そのSUV版ということで期待に胸が膨らみます。

まず運転席に乗り込んで感じるのが、エンジンルームと室内を隔てるバルクヘッドが高いこと。SUVの多くが前方の視界を確保するためにバルクヘッドをできるだけ低くし、座席を高く設定するなか、ステルヴィオはスポーツカーのように“籠った”印象を受けます。通常よりもシートを高くすれば視界は広くなるのですが、乗り降りはすこし面倒になります。ウッドパネルを配したセンターコンソールにモニターが配置され、シンプルでありながら大人の雰囲気が漂い、ステルヴィオはさすがプレミアムSUVであることを実感させてくれます。



テールゲートは電動に。試乗したモデルは「ファーストエディション」と名づけられた記念版で、ジュリア・ヴェローチェと同じ仕様。280馬力のエンジンを搭載し、走りに不足はありません。さらに高性能なクアドリフォリオも2019年までには上陸する予定。

驚くのはワインディングを走ったときのハンドリング。それはSUVとは思えないほどナチュラルで、少し大きなスポーツセダンを運転しているようです。SUVとしては例外的と言える走りを堪能し、軽井沢の別荘地に向かう途中で走った未舗装路でさらに驚きの感覚を覚えます。砂利道のくぼみにさしかかったとき、通常のSUVであればこういうシチュエーションのとき、ストロークの長い足まわりによって、衝撃を感じずに走り抜けるものです。ところがこのステルヴィオでその段差を越えると、ボディ全体にダイレクトに衝撃が伝わってきます。思えば試乗会の最初に説明を受けた際に、オフロード性能の部分にほとんど触れられていなかったことに気づきました。つまりこのステルヴィオはSUVのように背は高いものの、オフロードの性能は最小限しか備えていないということなのです。

こう書くとステルヴィオがダメなクルマのように思えますが、それは早計です。現在のSUVブームはおもに北米で人気に火がついたもの。普通のクルマより背が高く、荷物が多く詰めて遠くまで移動するのに向いていることで大人気となったのです。悪路を走破するための4輪駆動システムは必要ではなく、FFでもFRでもよかったのです。そう考えるとステルヴィオはあえて悪路走破のための足回りを捨て、よりスポーティに走る喜びと快適性を追求した1台と言えるかもしれません。ほかの多くのSUVと同じ性能を期待すると少しがっかりするかもしれませんが、ほとんど使わない悪路走破性を捨てたことで、より使いやすくなった新世代のSUVということができるかもしれません。

いろいろ考えると、ステルヴィオの走りはジュリアのSUV版というより、むしろジュリアのステーションワゴン版というほうが正しいかもしれません。そう考えると新しく設計したボディや電動のテールゲートなど、ステーションワゴンにしてはお得な感じがします。アルファ ロメオのスポーティなハンドリングと、SUVならではの利便性が必要な人には、ぴったりの一台といえるでしょう。

特別豪華な素材は使っていないのに、シンプルで落ち着いた上質なインテリアを演出できるのはイタリアメーカーのすばらしいところ。ドイツ車も日本車も追いつけないセンスは健在です。

FRベースの4輪駆動SUVということもあってリアシートは適度な広さ。とはいえ大人4人が遠距離移動するには充分広いです。

イタリアとスイスの国境にあるステルヴィオ峠をその名に冠するだけあって、ハンドリングは抜群。走りのストレスを感じないSUVが欲しいひとにはぴったりの一台です。

アルファ ロメオ・ステルヴィオ ファーストエディション
●エンジン:1995cc ガソリン直列4気筒DOHCターボ
●最高出力:280PS/5250rpm
●サイズ(全長×全幅×全高):4690×1905×1680㎜
●車両価格:¥6,890,000(税込)

●アルファコンタクト TEL:0120-779-159
www.alfaromeo-jp.com