北欧のライフスタイルブランド「イッタラ」といえば、シンプルで使いやすい食器の定番として、日本でも絶大な人気を誇ります。なかでも「ティーマ」などの磁器が知られていますが、そのルーツはガラスウエアにあることをご存じでしょうか。
「イッタラのロゴマークの“i”が何を意味しているか、知っていますか? 吹きガラスをつくる時に息を吹き込むパイプとガラス玉をイメージしたもので、ティモ・サルパネヴァがデザインしました。イッタラのルーツはガラスウエアにあるのです」
そう語るのは、「イッタラ」のグローバル・マーケティング・ディレクターを務めるアンナ・ヴァルティアイネンさん。生き生きとした表情とイッセイミヤケのプリーツプリーズをスタイリッシュに着こなす姿が印象的です。
1881年、フィンランドのイッタラ村でガラス工房としてスタートしたイッタラ。1936年に発表されたアルヴァ・アアルトによる「アアルト ベース」は、それまで硬質で幾何学的だったガラスのデザインを、有機的で柔らかな表現へと革新的に進化させました。
「アアルト ベースは当初、『エスキモー女性の革のパンツ』と彼一流のユーモラスな題も付けられたことがある花器ですが、そのフォルムは波のようにも湖のようにも見えます。見る人の想像をかき立て、私には自然そのものを形にしたように思えます」とアンナさん。
自然からインスピレーションを得たものづくりはイッタラの特徴のひとつです。ガラス製品は露や氷河、水紋などをモチーフにつくられ、イッタラのもうひとつの特徴であるクリアでピュアな独特のカラーも自然界の色をベースにしています。
「日本のクラフトも自然から発想したものが多いでしょう。だから日本の暮らしにイッタラのプロダクトは合うのだと思います。イッセイミヤケとのコラボレーションでも、自然でシンプルなデザインに、新しい技術を取り入れるという方向性で一致しました」
大の親日派であるというアンナさんは日本語を習っており、来日すると沖縄や益子へ足を伸ばし、器を買い求めているそう。自宅でもイッタラやロイヤル コペンハーゲンの食器に日本の器を取り合わせた“ミックスマッチ”でテーブルコーディネートを楽しんでいると言います。
アートとビジネスのバックグラウンドをもつ彼女ならではの視点で、新たな側面に光を当てられたイッタラ。フィンランドの自然の結晶のようなプロダクトは、自然との距離が遠のく現代の日本人の生活に潤いをもたらしてくれそうです。
イッタラ
www.iittala.jp