東京、パリ、ニューヨーク、ハワイを拠点としながら、具象画から抽象画まで個性的な作品を残した画家・猪熊弦一郎。1902年に高松市に生まれ、93年に東京で亡くなるまで生涯現役で描き続けました。猪熊弦一郎は、「いちどに1ダースの猫を飼っていた」というエピソードもあるほどの猫好きとして知られています。愛猫家だった妻・文子と暮らすうちに、猫の身体のやわらかな曲線や、内に秘めた野性的な一面など、その魅力の虜になっていった猪熊。日々の暮らしにおいても、作品のモチーフとしても猫は大きな存在で、裸婦やサーカスの馬などのモチーフと猫とを組み合わせて描くこともありました。自身の愛するものに美を見出した猪熊のモチーフは、猫だけにとどまりませんが、膨大に残されたスケッチや、ときにデフォルメされた形や線で描かれた猫たちからは、画家の愛着がひしひしと伝わってきます。
55年にニューヨークを活動の拠点としてからは、作品は抽象へと移行し、しばらく猫は登場しなくなります。しかし晩年、また具象に戻ってくると、再び猫も描かれるように。最愛の妻、文子が亡くなった葬儀の日、猪熊が妻の肖像のまわりを囲むように描いたのも、やはり猫でした。
世界的に活躍した画家が愛してやまなかった猫たちを思う存分堪能できる『猪熊弦一郎展 猫たち』。本展には、約160点の猫作品が集められています。猫好きは、ぜひとも足を運んでみてはいかがでしょうか。
『猪熊弦一郎展 猫たち』
開催期間:2018年3月20日(火)~2018年4月18日(水)
開催場所:Bunkamura ザ・ミュージアム
東京都渋谷区道玄坂2-24-1
TEL:03-5700-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10時~18時(日~木) 10時~21時(金、土) ※入館は各閉館の30分前まで
会期中無休
入場料:一般¥1,300(税込)
www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/18_inokuma/