丸形の大きなダイヤルに、同サイズの4つのサブダイヤルが整然と並んだ腕時計をご存じでしょうか。しかも、それぞれを4つの独立した自動巻きムーブメントが駆動することで、4つの異なる時間帯を分まで示すモデルでした。
この時計を世に送り出したブランドはメカニケ・ヴェローチ。同社は2006年の創業直後に発表された、この「クアトロ・ヴァルヴォレ」で世界に大反響を巻き起こしました。著名な小説家も愛用するほどユニークなモデルです。同社は内部のムーブメント開発にも着手。昨年に完成した自動巻き「MV8802」を搭載した新作「アイコン」がこのほど発売されました。
このムーブメントは、オリジナルの地板に「ETA2892」のパーツを組み込んでおり、たったひとつのムーブメントで前述した4つの時間帯を独立して駆動することが際立った特徴です。それぞれの時間帯はケース横に配置された4つのボタンで調整。通常の時計では4時位置に当たるサブダイヤルだけに赤い秒針が付いており、ローカルタイム(自分のいる場所の現地時間)を示します。第2時間帯を表示するGMTは、分を共通として省略して時間だけを針などで示すのが普通です。ところが、世界にはインドやネパールなど30分、または15分という単位をもつ時差の国があるので、そうした地域の時間を表示するにはとても便利です。しかも、それが4つのムーブメントからひとつに集約されたので、精度調整やメンテナンスなども大幅に簡略化されています。
メカニケ・ヴェローチは、カーレースに魅了されたふたりのイタリア人がミラノで創業しました。4つのダイヤルも四気筒エンジンのピストンをイメージしてデザインしたものです。現在ではスイス・ジュネーブに本社を置いているので、イタリアンデザインによるスイスメイドといえるでしょう。今回のムーブメント開発の成功によって、今後はカタチだけでなく、内部の機構でもさらなる独創性が発揮されそうです。
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