ただいま東京都美術館に、ボストン美術館から名品が来日中です!
世界に名だたるボストン美術館は、東洋美術、日本美術とヨーロッパ近代絵画のコレクションを中心に、古今東西の名品が揃うことで知られます。1870年にボストンの財界、教育界、文化界を代表する有志により非営利の民間法人として設立。市民を中心に多くの寄贈者や支援者に支えられ、現在その所蔵数はおよそ50万点にのぼるとか。膨大なコレクションから世界各地の名品80点が集う「ボストン美術館の至宝展ー東西の名品、珠玉のコレクション」展は、古代エジプトから現代まで百科事典的な内容で、その力量を見せつけます。
展覧会のポイントは、コレクション形成に寄与したコレクターたちです。公的資金援助を一切受けていない美術館の収集の歴史は、彼らなくしては語れません。世界中からボストン美術館に至宝をもたらした彼ら「ボストニアン」に焦点を当て、その審美眼と成果を観ていきます。
「異国を旅したボストニアンたち」では、19世紀から20世紀初頭に各地を巡ったコレクターによる、古代エジプト美術、中国美術、日本美術の名品が並びます。ハーバード大学と共同発掘した『ツタンカーメン王頭部』、フェノロサがもたらした歌麿の肉筆画、蕭白の屏風など、保存状態のよさもさることながら、驚嘆の内容です。また、江戸の絵師・英一蝶の3m近い『涅槃図』が、このたび解体修復を終え、約130年ぶりに里帰りしているのは必見です。
「グランド・ツアー」では、19世紀後半に欧州を旅したボストニアンたちが持ち帰ったヨーロッパ近代美術の名作を。並んでの展示は日本初というゴッホのルーラン夫妻を筆頭に、モネの連作『睡蓮』や『ルーアン大聖堂、正面』の逸品やクールベ、シスレー、セザンヌの静物画など、見ごたえ充分なラインアップです。
「アメリカン・ドリーム」では、18世紀から20世紀半ばのアメリカ絵画コレクションの一端をのぞきます。サージェントの上品な肖像画や現代アメリカ絵画への道を拓いたオキーフの作品が印象的です。
最終章「同時代の美術へ」では、ホックニーの版画やアンセル・アダムスの写真、ウォーホル、村上隆まで。多彩なジャンルの現代アートで、成長を続ける美術館の鼓動を感じさせます。
それぞれの時代に、それぞれの想いがボストン美術館にもたらした世界の名品たち。寄贈者の熱意と未来へつなげる美術館の意欲――。妬ましいほどにメセナの力を感じる内容です。
「ボストン美術館の至宝展―東西の名品、珠玉のコレクション」
開催期間:~10月9日(月)
開催場所:東京都美術館 企画展示室
東京都台東区上野公園8-36
開室時間:9時30分~17時30分(金曜は20時まで、8月11日、18日、25日は21時まで)
※入室は閉室30分前まで
休室日:月曜(ただし8月14日、9月18日、10月9日は開室)、9月19日
TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
観覧料:一般1600円
http://boston2017-18.jp/