ルネサンスを代表するふたりの巨匠、レオナルド・ダ・ヴィンチとミケランジェロ・ブオナローティ。
絵画から、建築、科学、解剖学、軍事に至るまで、あらゆる分野に関心を拡げ、現代にも通じる理論を打ち立てた“万能人”レオナルド。10代からその才能を発揮し、“神のごとき”と称された彫刻のみならず、壮大な建築や絵画作品も遺したミケランジェロ。後世からも並び称されるイタリアが生んだ天才は、レオナルドが23歳上ながら、実際に互いを意識するライバル関係にありました。
この「宿命のライバル」の素描を対比する展覧会が、東京・三菱一号館美術館で展開されています。ライバルといわれながら、同会場でそれぞれの作品を並べて比較できる展覧会は日本初。素描を中心に、絵画、手稿、書簡などで綴られる内容は、初来日の作品を多く含み、貴重で興味深い機会を提供してくれます。
素描・・・とがっかりしませんように。ルネサンス期は「〈自然〉を母として〈素描〉を父とすると、〈建築〉〈彫刻〉〈絵画〉の3姉妹がいる」といわれたほど、素描(ディゼーニョ)が重要とされ、すべての創造の源として位置づけられていたのです。素描は単なる下絵ではなく、自らの表現の最も根源的なものであり、ふたりの天才の特徴を捉えることのできる、たいへん重要な作品なのです。
会場は、描かれるテーマで互いの表現や追随者の作品からふたりの特質を比較しながら、その才能を感じさせる構成になっています。中でも注目は、「世界一美しい素描」といわれたレオナルドの《少女の頭部/〈岩窟の聖母〉の天使のための習作》とミケランジェロの《〈レダと白鳥〉の頭部のための習作》をじっくり比較できること。
絵画を至上の芸術としたレオナルドと、彫刻家を自負しながらも絵画を彫刻と並び重要なものとしたミケランジェロ。それぞれの描法や陰影の施し方、平面に立体を表現する手法の相違を堪能できます。書簡の筆跡から各々の人となりを想像するのもまた一興。
7/11(火)からは、全長2m超のミケランジェロの大理石彫刻も追加来日が決定! 大型で聖堂に置かれたものが多い彼の作品を日本で観られることはなかなかありません。こちらも貴重な機会です。
自然を整然と分析・整理して、美に昇華したレオナルド、自然をカオスのままにとらえ、すべてを形にしようとし、そこに美を生み出したミケランジェロ、そんな印象を持った「対決」の空間、さて、あなたはどう感じられるでしょうか?
「レオナルド×ミケランジェロ展」
~9月24日(日)
開催場所:三菱一号館美術館
東京都千代田区丸の内2-6-2
開館時間:10時~18時(祝日を除く金曜、第2水曜、会期最終週平日は20時まで)
※入館は閉館の30分前まで
休館日: 月曜日(ただし祝日は開館)
TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
入館料:一般1,700円
http://mimt.jp/lemi