「我が社には夢があります。着古した服を粉砕して新しい糸を生み出し、それを用いた製品をつくること。ペットボトルのポリエステルなどではなく、コットンの繊維でそれを実現させたいのです。いわば綿花の畑からではなく、一人ひとりのクローゼットの中から材料を調達する服。その第一歩として、直営店の『リーバイス® ストア』で古着のリサイクル活動を行なっています」
そう熱く語ったのは、アメリカ・サンフランシスコのリーバイス®社でサステイナビリティを担当する、マイケル・コボリ氏。同社はアパレル界の中でも労働環境や環境保全に取り組んできた企業として知られています。労働者を保全する「TOE(ターム・オブ・エンゲージメント)」を、製造業者(サプライヤー)にも遵守させる取り決めを25年前の1991年に行い、その後、環境に関わる条項も加えるなど常に発展させてきました。2005年には、サプライヤーの名称と工場の住所を公表。取引相手を秘匿することで、オリジナリティのあるアイテムを独占的につくろうとするアパレル界の慣習を打ち破る異例のやり方です。
そんな彼らが近年に力を入れているのが、資源の無駄をなくす製造システムづくり。大きく歩みを進めたのは、水をほとんど使わずに色落ち加工させるテクニック、「WATER<LESS™」の開発でした。
「オゾンを使い酸化させることで、見た目には従来品と変わらない色落ちを実現させました。2010年に製品をつくり、今では加工製品の約40%にこのテクニックを用いています。通常の製品づくりには40Lもの水が必要なところ、4Lまで減らすことができました。少ないエネルギーで製造が可能になり、コスト削減につながっています。近年は競合他社にもこのテクニックを公開し、誰もが発展・開発できるようオープンソース化しました。他社が同テクニックで製品をつくれば、2020年までに世界で500億Lもの水資源を節約できる計算になります」
セクト主義を捨て、業界全体が同じ方向を向くことが必要と説くコボリ氏。最新のリーバイス®の試みは、この記事の冒頭で触れた、古着を回収する「クロージング リサイクリング」です。ブランドを問わず不要になった衣類をリーバイス® ストアに持っていくと、製品のディスカウントクーポン券をもらえます(同ストアでは15%オフ)。集められた中古衣料品は、提携先「アイコジャパン(ICOJAPAN)」の施設で選別され、リウェア、リサイクル、リユースが行われます。モノ余りの時代における資源の有効活用に一役買うことを目指しています。
「正しいことを行い、それを利益につなげることがこれからの企業の努めでしょう。リサイクルに関してですが、実は再生コットンは繊維の長さが短く強度も弱く、我が社の基準に合う製品づくりが難しいのが現状です。でも近い将来の実現を目指して頑張っています。愛用している一本のジーンズを、カタチが古くなったという理由で穿かないのではなく、流行に合うように仕立て直すだけでも十分に無駄をなくせます。一人ひとりのやり方で、ファストなファッションのサイクルに異を唱えることができるのです」
リーバイス® クロージング リサイクリング
実施店舗:全国26店のリーバイス® ストア、25店のアウトレットストア
対象古着/条件:リーバイス®以外の古着も可。洗濯済みなこと、乾いていること、明らかな汚れがないことなどの条件あり。
特典:1回の来店につき一枚のディスカウントクーポン券(リーバイス®ストア 15%オフ、アウトレットストア 10%オフ)
問い合わせ先/リーバイ・ストラウス ジャパン
TEL:0120-099-501
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