「ブック・ケース・スタディ」でもお馴染み、恵比寿の「POST」にて、エレナ・トゥタッチコワの初写真集『林檎が木から落ちるとき、音が生まれる』(torch press)の刊行に合わせた展覧会が開催されます。エレナ・トゥタッチコワはモスクワ出身、東京在住の写真家です。自然と人間の関わりや文化的現象を通じて、人間の記憶がどのように形成されるかに関心を抱いた彼女は、地域のリサーチを重ねることで土地や個人の物語を採集し、写真や映像、テキストによるインスタレーションとして表現しています。『林檎が木から落ちるとき、音が生まれる』は、そんな彼女の幼少期の記憶をテーマに、ロシアの自然に囲まれて暮らす兄妹たちのかけがえのない夏の日々を継続的に撮りためてきた作品群です。
ところで、ロシアには夏の期間、祖父母が住む田舎の家や、「ダーチャ」と呼ばれる自然の家で過ごす習慣があるのをご存知ですか? 寒い冬が訪れる土地で、夏という季節は特別な意味をもちます。太陽が輝く夏がいつの間にか始まり去って行くように、あどけない少年少女たちも知らず知らずのうちに成長し大人になっていきます。そんなささやかな、けれど誰もが経験するであろう変化を、“林檎が落ちる音”という言葉で表現した一冊がこの写真集です。
この展覧会では、今夏撮影し、写真集にも収録されている新作「Treasures」と、写真集から選んだ作品を展示しています。写真好きならもちろん、彼女のことを知らない人にもぜひその魅力に触れてもらいたい展覧会です。(Pen編集部)
エレナ・トゥタッチコワ
「In Summer: Apples, Fossils and the Book」
会期:2016年12月9日(金)~29日(木)
時間:12:00~20:00
定休日:月
会場:POST(東京都渋谷区恵比寿南2-10-3-1F)
■オープニングレセプション
12月10日(土) 18:00 ~ 20:00
■記憶をめぐる詩の朗読&トークイベント
ゲスト:エレナ・トゥタッチコワ、ぱくきょんみ、須永紀子、乙益由美子
日時:2016年12月20日(火) 18:30 ~ 20:00(開場 18:00)
会場:POST(東京都渋谷区恵比寿南2-10-3-1F)
参加費無料・要予約