「ブレゲ」との関係を知ればもっとおもしろい! 現在開催中のマリー・アントワネット展のここに注目!

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    奥に飾られるのは、1785年に描かれたエリザベト=ルイーズ・ ヴィジェ・ル・ブランと工房の作品『フランス王妃マリー・アントワネット』。ヴェルサイユ宮殿美術館に展示されている貴重な絵。

    フランス革命で処刑台の露となり消えた、悲劇の王妃マリー・アントワネット。そんな彼女の半生を描く展覧会が、現在森アーツセンターギャラリーで開催中です。生涯の大半を過ごしたヴェルサイユ宮殿の学芸員チームの監修の下、まさに集大成ともいえる大展覧会となっています。

    そもそもマリー・アントワネットは、オーストリア皇女として誕生。14歳でのちにルイ16世となるフランス王太子と結婚し、華やかさを極めたフランス王朝のまさに”顔”ともいえる存在でした。しかし1793年に、37歳の若さでこの世を去りますが、その短く悲劇的な一生は、歴史上においても極めてドラマティックな生涯でした。この展覧会では、入念に選び集められた200点以上の美術品と資料を通じて、王妃の生涯を辿るというものです。確かな審美眼をもっていた王妃が、いかに美術史に寄与したのかも浮き彫りにされています。またヴェルサイユ宮殿内にある王妃のプライベート空間「プチ・アパルトマン」の浴室、図書館、居室を、当時の装飾や実際に使われていた家具、映像などとともに原寸大で再現され、当時の王朝の様子を感じとれる充実の内容となっています。

    その中でも特に注目したいのが、スイスの高級機械式時計「ブレゲ」との世紀を超えた物語です。マリー・アントワネットは、天才時計師として知られる初代アブラアン-ルイ・ブレゲの熱烈なファンでもありました。実際にパリのヴァンドーム広場にあるブレゲの本店ブティックの2階に収蔵されている台帳によると、王妃の名が最初に登場するのは夫ルイ16世よりも一年早い1782年のこと。それは、リピーター機構とカレンダー機構とを備えたペルペチュエル時計でした。宮廷のアイドルであり、ファッションリーダーでもあったマリー・アントワネットですが、実際にその「ブレゲ」の時計の素晴らしさを語って回ったとされています。そんな初代ブレゲに1783年、驚くべき注文をマリー・アントワネットは行います。希望するのは、「あらゆる複雑機構を最新のデザインに収めた世界最高の時計」。しかも納期は無期限、料金は無制限という破格のオーダー。ブレゲはこの新たな領域に挑戦する機会を得、すぐさまに世界一複雑な時計の製作に取り掛かります。その時計こそが、「ブレゲNo.160」です。

    注文から44 年、王妃の死から34 年を経て時計は遂に完成します。しかし、その後も数奇な運命をたどり、数々の伝説を書き綴ることに。1983 年の美術館からの盗難事件と2007 年の奇跡的な発見は、とりわけ有名です。そしてマリー・アントワネットとブレゲとの深い関係は、現代にも継承されています。2005年には、1983年に盗難にあい幻の存在となった「ブレゲNo.160」の再現に挑むことに。こうして完成したのが「ブレゲNo.1160」なのです。完成したのは2008年で、しかもその前年には「ブレゲNo.160」が発見されたこともあり、世紀を超えた運命を感じずにはいられません。実は去る11月2日と3日の2日間だけ、この「ブレゲNo.1160」が森アーツセンターギャラリーにて特別展示をされていたのですが、マリー・アントワネットとブレゲとの後世への遺産ともいえる、素晴らしい展示となっていました。

    またこの展覧会に合わせて、ブレゲは2本のスペシャルピースを製作しています。ブレゲ ブティック銀座で販売されているレディスウォッチは、王妃が愛したバラやリボンが可憐に彩るデザインとなっています。そんな世紀を超えたストーリーを知れば、このマリー・アントワネット展がより特別なものになることでしょう。(Pen編集部)

    ヴェルサイユ宮殿内にある王妃のプライベート空間「プチ・アパルトマン」を再現。王妃が実際に使った家具や同時代の浴槽などとともに原寸大で再現。ヴェルサイユ宮殿以外で、この規模の空間再現がなされるのは、史上初の試みとなる。

    著名なテーマパークや映画セットを手掛けるチームが集結し、宮殿内にある王妃の居室の室内装飾を忠実に再現。マリー・アントワネットが暮らした時代の家具も展示され、まるで宮殿に足を踏み入れたかのような臨場感が味わえる。

    愛用品として展示されいる「豪華な色彩と金彩の」食器セット。
    1784 年 磁器、軟質陶土、硬質陶土、釉薬、金彩 
    ヴェルサイユ宮殿美術館

    2008年、現代のブレゲの技術を結集して「ブレゲNo.160」の復刻モデル「ブレゲNo.1160」が完成。透明なダイヤルもオリジナルと同じ。複雑な機構の全容を見せる。※現在は展示終了。

    「デジール・ドゥ・ラ・レーヌ」ケースとダイヤルを立体的に華やぐのは、王妃が好んだリボンのモチーフ。ケース一面に配したダイヤモンドの煌めきが、一層の豪華さを与える。真珠母貝製のダイヤルでは、ダイヤモンドとピンクサファイアとが織りなすグラデーションが美しい。既存モデルを、若き日の王妃をイメージしたピンクに仕立て直した、これもまたスペシャルピースだ。自動巻き、18KWG、ケースサイズ33.5×24.95㎜。¥16,642,800/ブレゲ ブティック銀座

    「クラシック 9075 “王妃のバラ”」ダイヤルを彩るのは、プチ・トリアノン宮殿の庭園に咲く“ロサ・ケンティフォリア”。王妃が最も愛したバラの品種の姿が、エナメルの細密画で詳細に描き上げられた。間近で見ると、微細な茎まで描かれている様子に、目を見張る。スイスの名工による渾身の力作。そのダイヤルのフランジとベゼル、ラグには計167個のダイヤモンドが輝くユニークピースだ。自動巻き、18KWG、ケース径33.5㎜(ブティック限定商品)。¥8,208,000/ブレゲ ブティック銀座

    『ヴェルサイユ宮殿《監修》マリー・アントワネット展─美術品が語るフランス王妃の真実─』

    開催期間:開催中~2017年 2月26日
    開催場所:森アーツセンターギャラリー
    東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー52階
    TEL:03・5777・8600(ハローダイヤル)
    営業時間:10時~20時(火は17時まで) ※入館は閉館の30分前まで
    会期中無休
    料金:一般当日¥1,800
    www.ntv.co.jp/marie



    ブレゲ ブティック銀座

    東京都中央区銀座 7-9-18 ニコラスGハイエックセンター 3F
    TEL:03・6254・7211
    営業時間:月-土 11時-20時(月~土)、 11時~19時(日、祝日)
    不定休
    www.breguet.com/jp