今年は伊藤若冲生誕300年ということで、各地で若冲展が行われています。この春、東京都美術館で開催された若冲展では最大で320分待ちの長蛇の列ができ大混雑だったのは記憶に新しいところです。このブームの火付け役となったのが2000年に京都で開催された没後200年記念の展覧会でした。それを手がけた美術史家で、若冲研究の第一人者である狩野博幸さんが監修した『生誕300年 若冲の京都 KYOTOの若冲』が京都市美術館で12月4日まで開催中です。
狩野さんは「18世紀の京都でなかったら、若冲という画家は生まれなかった、あのころの京都は江戸とは異なる精神の自由性に満ちていた。若冲は、要するに京都そのものだ」と言っています。京都錦小路の青物問屋の長男として生まれた若冲。家業のかたわら狩野派、光琳や中国の元代、明代の画法を学び、40歳で絵画の制作に専念しました。そして、寛政12(1800)年に没するまで、写生的、装飾的な花鳥画と斬新なタッチの水墨画によって異色の画風を作り上げました。本展では、代表作の「雪中雄鶏図」「百犬図」をはじめ、近年発見されたあっかんべーをする布袋を描いた「布袋図」のほか、障屏画、拓版画など約120点が展示されます(会期中展示替えあり)。この秋冬は相国寺承天閣美術館や京都国立博物館でも若冲展を開催します。若冲を生んだ京都で、若冲を観る。若冲を知ることは、底知れぬ京都の魅力をひもとくことにほかなりません。(脇本暁子)
「生誕300年 若冲の京都 KYOTOの若冲」
会期:10月4日(火)~12月4日(日)
会場:京都市美術館
住所:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124 岡崎公園 内
TEL:06-4950-7555 若冲の京都 KYOTOの若冲 事務局
休 館 日:月曜日 ※10/10(月・祝)は開館
開館時間:9時~17時(入場は閉館30分前まで)
※10月8(土)・9(日)は19:00まで開館
料金:一般1,200円/高大生1,000円/小中生500円
※小中生は、土・日・祝日は無料