光を反射して揺らめくグラス。薄く繊細なガラスをシャープで量感のあるシルバーの台座が支えています。ステムのないワイングラスは時々見かけますが、シルバーとのコンビネーション、それもグラスと台座を切り離した革新的なグラスは、はじめてです。
このまったく新しいグラスは、フランスの老舗銀器メーカー「ピュイフォルカ」の《ソムリエ》コレクションから生まれました。世界最優秀ソムリエとして名高いエンリコ・ベルナルド、光とメタルの名手として知られるデザイナー、マイケル・アナスタシアデスの両者と開発したテイスティング用グラスです。
従来、シルバーはワインの味を変化させるため、グラスに用いるのはタブーとされてきました。それを解決したのが、ステムを排し、シルバーの台座にグラスを載せるという画期的なアイディア。開発の経緯について、ベルナルドさんは次のように語ります。
「ソムリエとしてのトレーニングを積んでいる時に、年に1万本のワインを10年間試飲していました。その時、グラスの持ち方で味わいが異なることに気づいたのです。ステムを持つより、グラスの底を持つ方が、甘みややわらかさを感じやすい。今回、それを味わえるグラスをつくりたいと思いました」
グラス底部を持つと、ステムを持つ時よりも傾ける角度が小さく、ワインが口の中にゆるやかに丸く広がるため、甘みややわらかさを感じやすいのだといいます。角度をつけたグラスの形状は、空気と触れる面が最適になるよう注意深く計算したもの。また、シルバーの台座は熱伝導率が高く、ワインの急激な温度変化を抑える効果もあります。こうして、味わいを追求した結果、ピュアでモダンな輝きをまとったグラスが誕生しました。それは、アール・デコの時代に活躍した4代目ジャン・ピュイフォルカの、機能を重視したシンプルで豊かなデザインを継承しているかのようです。
「光が美しいグラスなので、ロマンチックな食事を楽しむ時にぴったり」とベルナルドさんは微笑みます。機能と美しさを兼ね備えたグラス。とっておきをお探しの方にどうぞ。
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