古都・奈良を代表する社寺や江戸後期のふるい町並みが残るならまちで「古都祝奈良(ことほぐなら)ー時空を超えたアートの祭典」が10月23日まで開催しています。
これは日本・中国・韓国の3つの都市が1年を通してさまざまな芸術文化プログラムにより交流を深めていく国家プロジェクト「東アジア文化都市」の一環で、2016年は奈良市が日本の開催都市に選定されています。古代奈良は、シルクロードの東の最終地。正倉院にはシルクロードを経てもたらされた多数の美術工芸品が納められ、奈良にある社寺の建築は古代ギリシャや唐の建築様式の影響もみられる国際色豊かな先進都市でした。
そうした歴史を呼び戻すかのように、かつてのシルクロードの国々からアーティストたちを招へいして開催される、この現代アートの祭典。
中国の蔡國強は、東大寺に中国の船大工を10人呼び寄せ伝統的な木製帆船を造り、東西文化の交流の象徴として南大門と大仏殿の間にある鏡池に浮かばせる作品を展示しています。イランのサハンド・ヘサミヤンは、インドからエジプト、イラン(ペルシャ)、中国、そして日本に仏教とともに伝わった”蓮の花”を象った作品を興福寺で制作しました。
奈良の社寺と現代美術家が織り成す、古と現在を繫ぐアート
韓国のキムスージャは、飛鳥時代から続く元興寺の境内にある石舞台に鏡を敷き詰め、黒いオブジェを設置しました。鏡に映る黒い穴は、まるで宇宙のブラックホールのようで観ていると思わず吸い込まれそうな気がしてきます。
ほかトルコのアイシャ・エルクメン、シリアのダイアナ・アルハディド、インドのシルパ・ グプタ、日本からはパリを拠点に活躍する川俣正や紫舟+チームラボが出展しています。
どの作品も1000年単位の途方もない時間軸の視点からアートを表現していて、まさに時空を超えたアートの祭典です。また江戸後期からのまちなみが残る「ならまち」では、宮永愛子や西尾美也など7組のアーティストが、人々の生活に寄り添う時間軸で作品を展開。事業アドバイザーには「瀬戸内国際芸術祭」や「越後妻有アートトリエンナーレ」でおなじみの北川フラムさん、舞台芸術部門ディレクターには平田オリザさんが就任し、ほかにも平城宮跡を会場に「維新派」の舞台公演や、遣唐使をテーマにしたオペラ作品など魅力的なプログラムを揃えています。
この秋は、1300年前のグローバル都市・奈良に想いを馳せながら、時空を超えたアートの旅に出かけてみませんか。(脇本暁子)
「古都祝奈良(ことほぐなら)ー時空を超えたアートの祭典ー」
期間:2016年9月3日 - 10月23日
開催場所:奈良市内8社寺
(東大寺、春日大社、興福寺、元興寺、大安寺、薬師寺、唐招提寺、西大寺)とならまち等
問合せ先:0742-27-0120「東アジア文化都市2016奈良市」実行委員会事務局
料金:プログラムによる。(展示場所により拝観料、見学料が必要な会場があります)
http://culturecity-nara.com/kotohogunara/