六本木に誕生した新たなファッションスポット、「バーニーズ ニューヨーク六本木店」が話題を呼んでいます。場所は六本木ミッドタウンの目の前、新国立美術館へと入っていく曲がり角にあります。落ち着いたブラックの外観が目印で、中へ足を踏み入れると高さ9mの吹き抜けの空間が広がり、大理石の大階段が私たちを迎えてくれます。
既存店よりも一歩進んだファッション性とラグジュアリーな世界感を目指し、「ジバンシィ」や「ロエベ」などのラグジュアリーブランドから「ケイスリー・ヘイフォード」や「カラー」などのコンテンポラリーブランドまで、豪華な顔ぶれが並びます。71ものブランドとのコラボレーションも、”バーニーズならでは”の個性。中でも特筆すべきは〈jointworks@barneys.us.jp〉と銘打ったプロジェクト。これは、ニューヨークと日本の国境を超えたコラボレーションです。ご覧のデニムは、いまやパリでショーを行うまでに成長した日本のブランド「ファセッタズム」と、ジーンズをキャンバスにし、アブストラクトなペインティングを行うニューヨークの新進ブランド「リアルト ジーン プロジェクト」が手を組んだ逸品。メイドインジャパンの「ファセッタズム」のデニムをニューヨークに持ち込み、「リアルト ジーン プロジェクト」のデザイナーが一点一点ハンドペイントを施しました。日本のストリートの息吹とニューヨークのアートな感性が集約された一本です。他にも全15のコラボレーションが実現。次ページではさらに4つのコラボレーションに迫ります。
日本の繊細な技術×NYのデザイン力
日本の伝統的な”紋付染め”と、ニューヨークはマンハッタンを拠点とするガーリーブランド「シー ニューヨーク」が出合いました。大正8年創業の「京都紋付」は、日本の伝統的な正装である”黒紋付”だけを、長年に渡り染め続けてきた老舗中の老舗。今回のコラボレーションでは「シー ニューヨーク」のメインコレクションでも展開されたプルオーバーシャツを用いて、まず天然繊維だけを黒く染めるために、特別に配分した染料で「反応黒染」を施し、その後「深黒加工」という独自の技法で、白く残す部分はそのままに、黒く染めたい部分をより深い黒に染め上げています。コットンのボディのみがシャープなブラックとなり、レースはホワイトのまま。明暗のコントラストが美しい一着です。
ロックやグランジといった反骨心を感じるブランド「R13」は、日本のメリヤスメーカー「エイガールズ」のピュアカシミアを使用して、ニットパーカを製作。「エイガールズ」は和歌山の老舗ファクトリー。熟練の職人が、昔ながらの吊り編み機を使って生地を編んでいます。天井から糸を吊るして編むことにより、空気を含みながら柔らかく仕上がるのです。古い機械ゆえ時間は掛かりますが、その分優しくて上質な肌触りに。日本の繊細な生地が、ロックテイストあふれるタイトなブラックボディで表現されました。
パッと見て、「どうやって作っているの?」と疑問が湧くほど複雑な編み柄が組み合わさったプルオーバー。身頃中央はアラン編み、その横はガーター編み、またその横はリブ編みと、様々に編み分けるのには大変な技術と時間が必要です。「ハーヴェイ フェアクロス」の遊び心あふれる着想を、腕利きのニッターが揃う「気仙沼ニッティング」が実現しました。震災を機にスタートした宮城県の「気仙沼ニッティング」は毛糸作りから行う希有なニットファクトリー。東北のためになにかできないかと地元の編み手ともに立ち上げ、最高品質のニットを生み出し続けています。
ニューヨーク在住の日本人デザイナーが手掛ける〈ヴィア スペア〉はカットソーをメインとするブランド。今回のコラボレーションでは、カシミアとコットンをミックスしたジャージ素材を、天然藍で製品染めしています。染色を手掛けたのは湘南を拠点に活動する染色工房「マイ ディアレスト ブルー / リトマス」。ナチュラルに身体になじむゆったりとしたシルエットを、淡いブルーが助長します。デザイナー自ら藍染めの現場に足を運び、糸の混紡率からこだわりました。コーディネートの幅が広がるようにと、デニムにもチノパンにも合う”藍”のある一着に仕上がっています。
このように手の込んだコラボレーションアイテムが六本木の新店を彩っています。気になった方はこの週末にでも、足を運んでみてはいかがでしょうか。(森下隆太)
バーニーズ ニューヨーク六本木店
東京都港区六本木7-7-7
TEL:0120-137-007
営業時間:11時〜20時(月〜木、日) 11時〜20時半(金、土)
不定休
www.barneys.co.jp/roppongi/