高い気密性と機能性、装飾をそぎ落としたミニマルな美しさで知られているのが、京都を代表する老舗、開化堂の茶筒です。その開化堂による新たな挑戦、「kaikado Café」が話題になっています!
場所は開化堂から、河原町通を5分ほど南に向かったところ。昭和2年に建築され、市電の架線事務所兼車庫として使われていた洋風建築で、なんと約40年間シャッターが閉まったままだったそうです。「数年前から中川ワニさんや京都の職人仲間とかっこいいコーヒーの道具を作りたいという話をしていたことや、父が喫茶店をやりたいと言い始めたことなど、いろんな流れが一気に集まった感じですが、場所は真っ先にここが頭に浮かびました。小学生の頃からよく前を通って気になっていた建物で、天井が高く、窓も大きいから気持ちのよい空間になるだろうと思って」と開化堂6代目の八木隆裕さんは語ります。
インテリアデザインを手がけたのは、デンマークのデザインスタジオ「OeO」のトーマス・リッケ。彼は、八木さんが所属する京都の伝統工芸の若き後継者によるプロジェクトユニット「GO ON」のクリエイティブディレクターでもあり、いわば気心の知れた同志のような存在。コンクリートの古びた壁や鉄の窓枠など、味わい深い既存のデザインを活かしながら、ランプやカウンターに開化堂のエッセンスを取り入れて、明るくモダンな空間に仕上げています。
「朝日焼」のカップ&ソーサー、「金網つじ」のコーヒードリッパー、「中川木工芸」のコーヒースタンド、「公長齋小菅」の荷物用の竹かご、「細尾」のカーテンと、同じ「GO ON」のメンバーであるアイテムも、このカフェを彩る大切な要素。ほかにも、グラスは山科に工房を構える「PONTE」のものだったり、オリジナルトートバッグは「一澤信三郎帆布」のもの(中川ワニ珈琲とのコラボ珈琲缶とセット販売) だったりと、京都の職人技に一堂に触れることができるのです。「京都中の人やデンマークのデザイナーが集まって作るので、ひとつの感覚にまとめるのが難しかったですね。表面的なかっこよさはいくらでも作ることができるけれど、いかに京都らしく深いところに落とし込んで、それを感じてもらうかが課題でした」と八木さん。
メニューに並ぶのは、「中川ワニ珈琲」と「Postcard Teas 」それぞれのオリジナルや、「丸久小山園」の抹茶ラテ、「利招園茶舗」の玉露の雁金など。「父の好きなコーヒー、母の好きな日本茶、僕の好きな紅茶を揃えました。開化堂の大切なお客様をもてなすサロンのような場所であり、また京都の伝統工芸や道具に触れられるサロン的な存在にもなればと思います」
カフェで使われているオリジナルコーヒーや紅茶、カップ&ソーサー、グラス、トートバッグなどに加え、開化堂の茶筒も購入も可能。次の京都旅行には真っ先に、リストアップしたい新名所の登場です。(小長谷奈都子)
Kaikado Café
京都市下京区河原町通七条上ル住吉町352
TEL:075-353-5668
営業時間:10時30分~19時(18時30分L.O.)
定休日:木曜
www.kaikado-cafe.jp
www.facebook.com/kaikadocafe352/