親たちの趣味思考が先攻して、ありとあらゆるテイストの子ども服が現代にはあふれかえっています。ストリートやアメカジ風、プリンセスに正統派お受験風。その小さな服の世界にも、とても面白い歴史が隠されているのをご存知でしょうか。
島根県立石見美術館では、2月27日から『こどもとファッション —小さな人たちへのまなざしの歴史—』展が開催されます。西洋において、中世に子どもは「不完全な小さい大人」として、その衣服も成人服のミニチュアのようなものとされていました。18世紀半ば以降、大人と区別された子ども用の服がつくられるようになり、子どもらしい体型を生かした可愛らしいドレスが次々と登場します。会場では、この時代の手の込んだ小さなドレスとともに、明治以降、日本の子ども服が和装から洋装へ変化していく状況を、絵画や1920年代の雑誌、写真などでみていきます。
会期中、子どもとファッションにまつわるワークショップや講演会も開催予定。また、同時開催にて特別展『幼き衣へ』も開催されます。かつて子どもの着物に縫い付けら得た「背守り」という魔除けを、写真家・石内都が撮り下ろした写真展は、子どもの洋装が進む中で消えていった日本の習俗とその美しさを見せてくれます。
子どもたちが着ている服の影には、その時代や社会の歴史的背景だけでなく、子どもたちを見る大人の「まなざし」までもがにじみ出ているようです。(須賀美季)
『こどもとファッション‐小さな人たちへのまなざしの歴史—』
開催期間:2月27日(土)~4月11日(月)
開催場所:島根県立石見美術館
島根県益田市有明町5-15
TEL: 0856-31-1860
開館時間:午前10時~18時30分(入館は18時まで)
休館日:火
観覧料:一般¥1,000、大学生¥600、小中高生¥300
http://www.grandtoit.jp/museum/