フランス・パリでスタートしたのが2002年。移り気な現代において13年間人気を保ち続けている稀有なファッションブランド「メゾン キツネ」。奇をてらわない品のいいベーシックさと程よい洒落感があり、どの服にも長年着続けられる永遠性があります。

シーズン毎にあまり変化がないように思えて、実は巧みに時代感が込められている点も大きな魅力。もともとはパリの音楽レーベルから派生したブランドであり、内包するエッジーな感性が、愛用するファッションエディターやスタイリスト、グラフィックデザイナーらの最先端好きな人々を刺激しているのでしょう。

そんなメゾン キツネが、日本3店舗目となる路面店を東京・代官山にオープンさせます。「代官山 T-Site」のほぼ裏手あたりの、レストラン「シェ・リュイ」や「OKURA」が並ぶ通り沿いです。注目したいのは、旬の感覚といえる和モダンなテイスト。13年2月に表参道店を誕生させたとき、すぐ近くに同時オープンさせた「CAFÉ KITSUNÉ」とも共通する、日本の土地ならではの店のあり方が追求されています。竹林に囲まれたような2階建ての店の床は、格子柄のフローリング。テーブルやディスプレイの棚は漆塗りで、店内にはオーダーメイドの木製屏風まで置かれています。

きっと代官山の穏やかな佇まいに馴染む、居心地のいい空間になるでしょう。海外からの訪問者も、休日の散歩を愉しむ私たちも、ふらりと立ち寄りたい店です。（高橋一史）