新里明士、川端健太郎、今泉毅。新春、注目を集める若き陶芸家が「3人展」を開催。

    Share:

    右から:今泉毅《白瓷瓶》、新里明士《青小ツボ》、川端健太郎《艸ノ》

    福岡「岩田屋三越 美術画廊」にて、新里明士、川端健太郎、今泉毅による「3人展」が開催されます。ともに、1970年代生まれで、多治見市陶磁器意匠研究所修了という経歴。公私ともに交流のある3人ですが、揃って展示会を開催するのは、今回が初の試みとなります。

    新里明士が手がける作品「光器」は、透光性の高い白磁に穴を開け、穴に透明の釉薬を埋めて焼成するもの。「蛍手(ほたるで)」と呼ばれるこの手法により、あたかも作品自体が光を帯びているかのような幻想的な表情を見せてくれます。今回は、茶道具が中心のようです。

    深海生物を彷彿させるような川端健太郎の作品は、力強いフォルムでありながらも色彩は 優しく繊細なのが特徴的です。磁土の手捻りによる独特な造形で、その表面に辰砂釉を中心に色ガラスの破片などを施し、生命の息づかいを吹き込んでいます。

    今泉毅は、独自のテクスチャーが印象的な黒彩の器から、青瓷・天目へと新たな作域に進化を遂げてきました。今回は、南宋憧憬な青瓷と天目で、茶碗や酒器を中心に展示。一見、静かに端正な佇まいですが、目の当たりにすると、空を思わせるような深さに惹き込まれてゆきます。

    三者三様、まったく異なる個性をもつ作品が一堂に会することで、現代陶芸の粋や、幅の広さを感じることができるのではないでしょうか。会期後半には、3人が揃って在廊。新年にふさわしい華やかな顔ぶれが揃います。作家本人に作品の話を聞ける貴重なこの機会。食や酒も魅力的な福岡で、2016年のアート鑑賞をスタートしてみてはいかがでしょうか。(外川ゆい)

    新里明士《光碗》

    新里明士 Akio Niisato

    1977年、千葉県出身。2005年、イタリア ファエンツァ国際陶芸展 新人賞。2008年、パラミタ陶芸大賞展 大賞。2009年、菊池ビエンナーレ 奨励賞。2014年、MOA岡田茂吉賞新人賞。現在は、岐阜県土岐市にて制作に励み、海外での個展も精力的に開催。

    川端健太郎《白磁辰砂白金錦彩綴化茶盌》

    川端健太郎 Kentaro Kawabata

    1976年、埼玉県生まれ。2001年、織部の心作陶展 大賞。2002年、益子陶芸展 審査員特別賞。2004年、益子陶芸展 加守田章二賞。2007年、パラミタ陶芸大賞展 大賞。工房を構える岐阜県瑞浪市の豊かな自然や季節の移ろいが、作品にインスピレーションを与えています。

    今泉毅《窯変天目》

    今泉毅 Takeshi Imaizumi

    1978年、埼玉県生まれ。2007年、Cheongju International Craft Biennale特別賞。2009年、日本陶芸展 大賞・桂宮賜杯、韓国京畿道世界陶磁ビエンナーレ 銅賞、神戸ビエンナーレ 現代陶芸コンペティション奨励賞。埼玉県日高市に工房を構え、活動しています。

    「3人展」新里明士 川端健太郎 今泉毅

    開催期間:2016年1月5日~10日(作家在廊日3人ともに1月8日~10日)
    開催場所:岩田屋三越 美術画廊
    福岡市中央区天神2-1-1福岡三越9階
    TEL 092-724-3111(大代表)
    開館時間:10時~20時(最終日は16時まで)
    会期中無休
    入場料無料