茶人もうなる佐賀の工芸美、鍋島緞通と唐津焼が一同に会します!

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    緞通は95×190㎝くらいの畳1畳分の大きさが基本。写真は吉島伸一鍋島緞通の「藤茶地 嬋娟文(せんけんもん)」95×191㎝。唐津焼は中里隆の唐津南蛮壺(奥)、矢野直人の絵刷毛目注壺と粉引盃(手前)。住まいでの使い心地を想像させる、しつらえも魅力です。

    佐賀を代表する伝統工芸、鍋島緞通と唐津焼のいまに触れる企画展「鍋島緞通と唐津焼展」が、東京・駒場公園に近いギャラリー櫟で開催中です。鍋島緞通は織元の吉島伸一さん、唐津焼は唐津市のギャラリー・一番館の坂本直樹さんお2人によるセレクトです。

    緞通とは中国大陸から日本に伝来した、地糸にウール糸などを結びつけて密に織る敷物の1種です。そのうち鍋島藩に伝わった鍋島緞通は綿100%で織られるのが特徴で、あたたかくさらっとした肌触り。「伝統と向き合う創造」をテーマに企画展を開催するギャラリー櫟は、質の高い住空間がそのままギャラリーとして活かされているので、ソファの前や室内に展示された緞通に直接触れてほしい、と吉島さん。インディゴカラーを多用した独特の美しい配色と古典文様は見応えがあります。

    一方唐津焼は、人間国宝の中里太郎右衛門や中里隆ら重鎮から、根強いファンの多い中里太亀、中里花子、丸太宗彦から若手の矢野直人や浜野マユミなど、幅広い年齢層の作品を展示。大皿から手に取りやすいぐい呑まで、絵唐津・朝鮮唐津・斑唐津・刷毛目など、唐津を代表する技法の違いを同時に楽しめるのも魅力でしょう。

    文様や絵付けなど古典をベースとする鍋島緞通と唐津焼は、長い歴史を持ちながらも、現代の若い職人や作家にその技術と魅力が受け継がれている、と吉島さんも坂本さんも口を揃えます。そんないきいきとものづくりをしている現場の空気が作品からも感じられました。

    12月5日(土)14時~16時(受付開始13時30分)には佐賀の料理と銘酒を唐津焼のうつわで楽しむ会をギャラリーにて開催します。唐津焼の注目作家のひとり、矢野直人さんをゲストに招き、現代のうつわづくりについてお聞きします。ホストは吉島さんと坂本さん。料理家・田上委久子さんによる佐賀にインスピレーションを受けた料理を提供します。(参加費は¥5,000)ぜひ、参加してみてはいかがでしょうか。(小川 彩)

    古典柄をインディゴブルーの濃淡で表現した鍋島緞通。綿100%の気持ちよい肌触りを体感してください。

    ギャラリーに併設の茶室にも鍋島緞通を展示。畳とほぼ同じ大きさの鍋島緞通は、茶席で使われることも多いのです。

    唐津焼の展示会場では、ベテランから若手まで唐津を代表する作家の作品を、じっくりと選ぶことができます。

    「鍋島緞通と唐津焼」展

    会場:駒沢住宅 ギャラリー櫟
    東京都目黒区東が丘2-13-25
    TEL:03-5712-5513
    会期11月28日(土)−12月7日(月)
    10時30分~17時30分 
    休 水(最終日は16:30まで)
    ※12月5日の申し込みは下記サイトにてご確認ください。

    www.isahomes.co.jp/kunugi/index.html