脱構築主義のシンボルをひも解く、「建築家 フランク・ゲーリー展“I Have an Idea”」が始まりました!

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    ロサンゼルスにあるゲーリー事務所。今回の展示より(以下同)。

    茶色のその建物は巨人が押し潰したように凹まれて、風景に強烈な違和感を与えます。銀色のただ1色をまとって光り輝く建物は、そびえ立つランドアートのような抽象彫刻の様相を呈しています。ときに絵本のように空想的な造形物を出現させ、ときにダリの絵のごとく空間を歪ませるゲーリーにとって、建築とは自由なアート表現なのでしょうか。

    「脱構築主義」と称される、アメリカを拠点とする建築家、フランク・ゲーリーの展覧会「建築家 フランク・ゲーリー展 “I Have an Idea”」が、東京・六本木の「21_21 DESIGN SIGHT」で2016年2月7日(日)まで開催されています。ゲーリーが語った言葉を展示会場にちりばめながら、多数の建築模型が並べられています。展覧会の重要なテーマは、デザインが生まれるゲーリーの頭の中身やポリシーの本質を探り出すこと。展覧会のディレクターは、新国立劇場の国際設計競技のファイナリストに選ばれたことでも話題を呼んだ、パリをベースに活動する新鋭建築家の田根 剛(DGT.)。「アイデアの力」に着目して、ゲーリー自身の内面を浮き上がらせる試みは、同じ仕事を生業とする田根さんだからこそといえるでしょう。

    ゲーリーの代表作と言われる、ビルバオ・グッゲンハイム美術館(スペイン)、ウォルト・ディズニー・コンサートホール(アメリカ)、ルイ・ヴィトン財団(フランス)を撮影した映像を立体的にコンクリート壁に投影するオリジナル映像や、建築家の素顔に触れられる「ゲーリー・ルーム」も見どころ満載です。クリエイティブな仕事に従事する人には、他者の創造の源を深く知ることができる貴重な場となることでしょう。(写真・文:高橋一史)

    ゲーリーが注目されるきっかけとなった、「ゲーリー自邸」の模型。

    プロジェクトのプロセス模型を多数展示。

    UTS(シドニー工科大学)ドクター・チャウ・チャク・ウィング棟(オーストラリア)の内部構造の様子。

    「しばらくこのままにして眺めて、イライラしてみよう。それから、どうするかを決めよう。」。会場にちりばめられた、フランク・ゲーリーの言葉のひとつ。

    会場での記者会見に出席したフランク・ゲーリー。

    本展ディレクションを手掛けた田根 剛。

    建築家 フランク・ゲーリー展 “I Have an Idea”

    10月16日(金)~ 2016年2月7日(日)

     21_21 DESIGH SIGHT 

    東京都港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン・ガーデン内
    TEL:03-3475-2121
    開館時間:10時~19時(入館は閉館の30分前まで)
    休館日:火、年末年始展示替え期間
    入場料:一般¥1,100 
    www.2121designsight.jp

    ※Pen Onlineでは近日中に、田根さんのナビゲートによる展覧会案内の特集記事も公開されます。