デスクまわりを彩るデジタルガジェットである一方、ビジネス上の重要な数字を扱うための精度や良好な使い勝手が求められる電卓。そんな電卓の開発におけるリーディングカンパニーとして、我々の日々のデスクワークに寄り添ってきたカシオが、今年で電卓発売50周年を迎えたことをご存知でしょうか。
1965年に世界で初めてメモリー機能付きの電子卓上計算機を発売したカシオは、その後も1972年には世界初のパーソナル電卓を、83年にはクレジットカード型電卓を発売するなど、ビジネススタイルの変化によって生まれる新しいニーズに対応しながら、名作と呼ぶにふさわしい電卓を多数生み出してきました。
そんなカシオから、記念すべきアニーバーサリーイヤーを飾るフラッグシップモデルが発売されました。「S100」と名付けられたこの新作を手に取ってみると、50年に渡って電卓の高性能を追求し続けてきた開発者たちのこだわりが、プロダクトの随所に息づいていることがひしひしと伝わってきます。
電卓の顔つきを決定づけるフロントには、一点ずつ切削してヘアライン加工を施したアルミニウムの一枚板を採用。液晶のなかでもグレードの高いFSTN液晶を用いたディスプレイには、高級メガネレンズによく使われている両面反射防止コーティングを施したウィンドウを搭載するなど、視認性の高さに加えて、全体の佇まいも極めて高品位に仕上がっています。
使用感において秀逸さが際立つのは、業界初のV字ギアリング構造を用いたキー。これはキーの端を押しても中央を押しても同じテンションの返りを得られるようにするための構造で、安定感のあるキータッチによって小気味好い入力を後押ししてくれます。また、キーを離す途中から次のキーを押し始めても、最大で3つまでの数値を認識するロールオーバー機能を搭載することで、正確な早打ちにも対応。さらに、人間工学に基づいて、指の自然な動きに配慮してキーの配列を設計するなど、細部にまで追求された高スペックが、快適な使用感の追い風になってくれます。
デザインと性能の両面で、モノとして所有する喜びを満たしてくれる電卓に久しぶりに出会うことができた。「S100」を手に取れば、きっとそんな感動を体験できるはずですよ。(遠藤 匠)