土祭と書いて、「ひじさい」。9月13日(日)から28日(月)まで、益子町で開催される祭りです。古代の日本人は、土や泥を「ヒジ」と呼んでいました。古くから窯業と農業を営み、土と向き合いながら生きてきた益子町は、先人たちが育んできた風土をさらに豊かなものにして次代に手渡すことを目指して、2009年から始めたこの新しい祭りを「土祭」と名付けました。9月の新月から満月までを会期とし、作品展示やコンサート、演劇、セミナー、ワークショップなど、町の人々がアーティストや研究者など各分野の専門家と一緒につくりあげたさまざまな企画が町のあちらこちらで開催されます。
第3回目となる今回は、「この土地で生きることは、継ぐこと、識ること、澄ますこと、照らすこと、結ぶこと」というキーワードにそって50以上のプログラムが展開。たとえば『風景遠足』は、益子の「風土・風景を読み解くプロジェクト」で話題になった場所などをガイドとともに巡るミニ遠足。展示『益子の原土を継ぐ』は、益子の原土を用いて陶芸家や染織家、日本画家、左官などが新しい表現に挑戦します。研究者や実践者を招いて行うトークセッション「益子風土学セミナー」のテーマは、“風土とともに継ぐ音楽”、“益子での自然エネルギーの可能性”、“森と里と海から考える土と農業”など、気になる企画が目白押し。
また、以前から益子の作家と関わりの深いBEAMSのレーベルfennicaも土祭に参加し、陶芸家濱田庄司の窯や工房がある益子参考館に期間限定ショップをオープン。濱田の蒐集品の中からメキシコのアイテムに着目した企画商品を販売します。「出店する場所は、濱田の友人であるイギリス人の陶芸家バーナード・リーチが滞在し、作陶した長屋門。40年以上使われていなかったスペースを片付け、掃除していたら、リーチの失敗作や、若くして亡くなった濱田庄司さんの息子、篤哉さんの眠っていた作品が見つかりました。今回はそれも展示、販売の予定があります。リーチが使った轆䡎のある作業場もご覧いただけます」と、fennicaディレクターの北村恵子さん。リーチや篤哉氏の作品は、陶芸ファンには垂涎の的といえそうです。
益子の風土を分かち合い、生きることの深みを再確認する土祭。益子が初めての人はもちろん、リピーターにも必ず新しい発見がありそうですね。(牧野容子)
上段写真:土祭のメインビジュアル。土祭に参加するには、会期中に益子の各所で販売されているパスポート(¥500)が必要。プログラム内容など詳細は土祭のHPをはじめ、公式ガイドブック『土祭という旅へ』を参照(サイト内ストアや東京都内、益子の数店舗で販売中)。
『夕焼けバー』では、益子の地酒や生ビール、地元の野菜をふんだんに使ったメニューが楽しめる。2009年のワークショップで作られた土舞台がある土祭広場にて、「音楽会」の開催日にオープン。
fennicaで販売される木製玩具の復刻品。あえて濱田の蒐集品と同じ時代の絵の具を使っているので、年を経るほどに味わい深い風合いに。このほか、16世紀に作られていたエキパルチェア、ラグベスト、メキシコをモチーフにしたコケシなども販売。(販売方法など詳細はfennicaのブログを参照。)
土祭2015 Living with the Earth
2015年9月13日(日)~28日(月)
会場:益子町内各所
基本開場時間:10時~17時
入場料(パスポート):¥500(中学生以下無料)
※鑑賞や演劇・映画・セミナー・ワークショップへの入場や参加にパスポートが必要です。
問い合わせ先:益子町産業建設部観光商工課土祭事務局 TEL:0285-72-8873(平日8時30分~17時15分)
http://hijisai.jp