毎年世界の1,000か所以上で行われ、「靴がどれほど大切なものか」を体験、共感するイベントTOMS「One Day Without Shoes」が、今年も5月21日（木）に開催されます。

TOMS（トムス）は、靴を１足買うことで、発展途上国の子どもに靴が１足贈られるという「One for One」の理念を実行しているブランドです。ブランドをご存じない人でも、踵の部分にブランドロゴを配したエスパドリーユに似たスリッポンシューズと聞けば、ピンとくる人も多いでしょう。そもそもこのブランドは、創始者であるブレイク・マイコスキー氏が休暇で訪れたアルゼンチンで、子供たちに靴をつくっていた３人の女性ボランティアに出会ったことが始まりでした。

今回、そのブレイクさんが初来日し、インタビューに答えてくれました。
「僕はアルゼンチンで靴を持っていない子どもがいることを初めて知り、その女性たちに出会った時に、とても感動するとともにもっと力になりたいと思いました。というのも、靴があれば、ケガはもちろん感染症等も未然に防ぐことができるからです。彼女たちがつくっていた靴は、残念ながら底も薄くインソールも入っていない実用に耐えるとは言い難いものでした。だから、アメリカに戻ってデザインや機能を練り直したのです。とはいえ、僕はそれまでアパレルの仕事をしたことがなかったので、最初はすべてが手探りで、とても大変でした」とブレイクさん。

ブレイクさんの靴づくりのコンセプトやデザインが時代にマッチしたのか、発売とともに大人気に。多くのセレブたちが履くことで、知名度もどんどん上がりました。しかし、ブレイクさん自身はそこまで売れるとは思ってなかったそうで、製造も追いつかず、販路も充分に確保できないなど、様々な困難にぶつかったそう。しかし、コンセプトに賛同する多くの会社がビジネスパートナーとして名乗りをあげたのです。
「僕たちはギビングパートナーと呼んでいますが、彼らは靴のデザイン、製造のほか、子どもたちのところまで足を運び、手渡しするということも行っています。現在では75以上のギビングパートナーがTOMSに協力をしてくれています」

経営と社会貢献を両立させるというのは、起業家の夢でもあります。それを実現させたTOMSは、ひとつのビジネスモデルとしても興味深いところです。
「一番わかりやすいところでは、例えばほかのシューズメーカーは、宣伝費や広告費に莫大な費用を投じます。しかし、TOMSはそういった部分を極力抑えて、口コミで広がったということが大きいです。この会社のストーリーを理解して、それを広めていってくれるということが大切なんです。最近だと２年くらい前にクリントン元大統領がルワンダを訪問した時に履いていたのがニュースで取り上げられました」

現在「One for One」は靴だけではなく、アイウエアで視力回復の手助けを、バッグでは出産のための器具や衛生用品を、発展途上国の人々に提供しています。そして、これまで70ヶ国以上、3,500万足の靴を途上国の子どもたちに贈り、27.5万人に視覚回復支援を行い、5ヶ国にきれいな水を届けています。

このイベントへの参加方法は２つあります。ひとつはイベント自体への参加。もうひとつはインスタグラムでの参加です。インスタグラムでは、#WITHOUTSHOESとハッシュタグを付けて素足の写真をアップすると、期間終了後にTOMSにて写真をアップしたアカウント数を集計、同じ数の新しい靴が途上国に届けられます（※下記参照）。あなたもぜひ、参加してみてください。（大嶋慧子）

※写真のアップはひとつのアカウントにつき1回のみ有効。アップされた写真は「ONE DAY WITHOUT SHOES」のWEBサイトに掲載される可能性があります。

●ブレイク・マイコスキー
1976年 8月26日テキサス生まれ。19歳で大学を中退後、初のビジネスとして、学生向けのクリーニング事業を立ち上げ、起業家としての人生をスタート。成功後20歳でこの事業を売却し、休暇で訪れたアルゼンチンでボランティア団体の女性たちに出会う。この女性が行う靴を寄付するボランティアに参加し、TOMSのOne for Oneアイデアが生まれ、現在に至る。ブレイク氏は自身を社会起業家（social entrepreneur）と表現する。