ファッションとクルマ、両分野の目利きである田窪寿保さんは、スバルの新型スポーツセダン、WRX S4をどのように評価するのでしょうか。
田窪寿保さんは、ふたつの顔をもつ男。ひとつは、トランクのグローブ・トロッターやシャツのターンブル&アッサーといった英国ブランドを扱うBLBG(ブリティッシュ・ラグジュアリーブランド・グループ)の経営者の顔。そしてもうひとつが、英国製スポーツカーの愛好家の顔です。
数々のヒストリックカーレースやラリーにも出場した経験がある本格派で、英国流に表現すればエンスージアスト(熱狂的なマニア)ということになるはず。
その田窪さんがいま、注目しているニューモデルが、スバルの新型スポーツセダン、WRX S4です。
「20年近く前でしたか、初代インプレッサWRXの試乗に行ったことがあるんです。ラリーで強かったこともあって、クルマ好きのイギリス人の間ではすごく評判がよかったんです」
田窪さんとイギリスとの関係は、英国の航空会社でキャリアを積んだ後、英国グローブ・トロッター社の取締役副社長としてイギリス赴任も経験するなど長く、田窪さんはイギリス人の考え方を熟知しています。
「イギリス人は、自分の趣味に決して妥協をしないんですね。いいモノを見極めて、長く大事に使います。タイミングの問題で購入には至りませんでしたが、初代インプレッサWRXというスポーツセダンがイギリス人の心に刺さった理由は、よくわかりました。ていねいにつくられていて、おかしな表現ですが〝手づくり感〞がありました」
わかる人にはわかる、スバル独自のエンジン
4枚のドアと独立したトランクをもつクルマをセダンと呼びます。スポーツカー好きの田窪さんにとって普通のセダンはあまり興味がないジャンルです。ただし、スポーツセダンは別モノ。「イギリス人はセダンではなくサルーンと呼びますが、パーティやビジネスにも使えるフォーマルなスタイル。それでいて速いスポーツサルーンはその意外性が楽しいのです」
確かに、BLBGの直営店にあたるブリティッシュ・アーケードショップであるヴァルカナイズ・ロンドンの前に停められたWRX S4は、青山・骨董通りの瀟洒な雰囲気に馴染んでいます。都会的で洗練された佇まいです。
WRX S4で走り始めた田窪さんの第一声は、「昔の英国車みたいな乗り心地ですね」というものでした。
上質なデザインと、切れ味の鋭い操縦感覚に心が躍る。
「もっと硬い乗り心地を予想していましたが、いい意味で裏切られました。ひたひたと走った昔のジャガーの足まわりを〝猫足〞という言葉で表現しましたが、そんな感じです。4本の脚がしなやかに伸び縮みして、路面からのショックを吸収してくれます」
ターボチャージャー付きの水平対向エンジンも洗練されている、というのが田窪さんの評価です。「やっぱり水平対向エンジンの回転感覚はスムーズです。手間暇のかかる水平対向エンジンは、いまやスバルとポルシェしかつくっていない。トランスミッションとの相性もよくて、クルマ好きがじっくりとチューニングしたことが伝わってきます。わかる人にはわかるこの感じ、嬉しいです」
ワインディングロードに入ると、WRX S4は別の顔、シャープなコーナリングを見せます。「バランスがよくて、気持ちよく曲がります。洗練されているだけでなく、身体能力が高い感じがします」
こういう感想の後で、独り言のように「サーキットも攻めてみたいなぁ」と田窪さんはつぶやきました。
WRX S4は、サーキットなどのスポーツ走行に特化したモデルではありません。けれども競技の経験もある田窪さんは、そのポテンシャルを確かめてみたかったのでしょう。
洗練とスポーティというふたつの顔をもつWRX S4が、ラグジュアリーブランドを扱う経営者とエンスージアストというふたつの顔をもつ田窪さんと重なりました。
(写真:小林俊樹 文:サトータケシ)
エンジン形式:水平対向4気筒DOHCターボ
エンジン排気量:1998cc
最高出力:221kw(300ps)/5600rpm
最大トルク: 40.8㎏f・m/4800rpm
全長×全幅×全高:4595×1795×1475㎜
車両重量:1540㎏
車両本体価格:¥3,348,000~
※この画像のボディカラーはアイスシルバー・メタリック
環境、安全、楽しさ、セダンの新しいカタチ
スバル新型スポーツセダンWRX S4が、8月にデビューした。完璧な回転バランスと低重心を実現する水平対向エンジンは、直噴化することで優れた環境性能も獲得。事故を未然に防ぎ、万が一の時も被害を軽減する技術EyeSightは、ver.3へと進化。カラー画像を解析することで先行車両のブレーキランプも認識できるようになるなど進化を遂げた。
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